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パンッ…………
俺はオーディンという男に向かって銃を撃った。どこかを狙ったわけではない。ただ当たればいいと思った。
弾はオーディンの右肩に命中する。まっちゃんがそのすきに逃げだそうとするが……
一瞬俺もまっちゃんも動きを止めてしまい唖然としてオーディンを凝視する。
……あれ、効いてね?
弾が当たった右肩をオーディンが苦しそうにおさえているのだ。
我にかえったまっちゃんがオーディンの下から抜け出し俺の隣まで駆け寄リ、驚いた声音で話しかけてくる。
「おい! 永志、今何をした!?」
「いやいや、知らないって! この人達ってダメージ受けないんじゃないの!?」
オーディンの右肩からは光のようなものが流れ出ていた。その光は空中に消えてなくなるのだが、オーディンの傷口は塞がらない。
「なんだと!? 世界は我を不必要と判断するのか!?」
「オーディン! なぜ永志の撃った弾は効いた!?」
まっちゃんの質問にオーディンは答えようとせず初めて敵意という感情を俺達に向け、睨みつけてきた。
「…………。だが我の存在はお前らを排除するためにある。今回は見逃しはせぬ」
そう言ってオーディンは立ち上がり俺達に近づいてくる。
パンッ
まっちゃんがオーディンの足に発砲する。どうやらこれも効いているようだ。足から光が溢れ出しその場にひざまずく。
目を見開き驚くまっちゃん。
「こんなことは今まで一度も……」
もう一度撃とうとして弾切れであることに気付く。
残る銃は俺が持っている一丁のみ……。
「永志……とどめをさせ……」
「でも…………」
オーディンが苦しみながらも俺に話かける。
「永志よ、我を撃ってみるがいい。それで我が消滅するならば……それも世界の意思だ。お前達は一歩真実に近づけるだろう」
「……永志……明らかにペースは遅いが右肩の穴はふさがろうとしている……。真実が知りたいのなら撃って先に進むしかない……」
まっちゃんにうながされ俺は決意を固める。
真実を、知らなければならない。
今回は慎重に心臓を狙う。この距離なら俺でもはずさないだろう。
…………パンッ
弾は狙い通り心臓に当たった。オーディンがゆっくりと倒れる……。
胸から光が溢れ出す。まっちゃんがオーディンに近づいていき俺もその後を追う。まっちゃんは横たわるオーディンの頭の脇に立ち問いかける。
「いったいお前らは何なんだ……。この世界はどうなっているんだ……」
「……お前達は世界を壊す存在となるだろう」
オーディンはやはり質問には答えてくれなかった。
最後にそう言い残すと全身が膨大な量の光となって、消えた。