プロローグ
天使さんが僕に「朝食できたよ」と言い、悪魔さんが「風呂入るので」と報告してくる。
そんな日々があの日を境に僕の日常となった。
あの日、清水一麻は久しぶりに駅前の商店街に出ていた。その頃は超劇的安な家賃のぼろアパートに住んでいて、金もそこまで持っているわけでもなかった。だがとりあえずその日と次の日分の食材を買い込んで帰ることにしたはずだった。
だけどその細い路地の入口の前を通った時、その道の向こうの方から音楽が聞こえてきた。たまにいる路上ライブの類だとわかっていたけれど、なぜかその時の僕はその音楽に引きつけられていた。
音源に向かい歩き出した僕は、なんだかわからないものに心をつかまれている気がした。
そしてその道の突き当りに出ると、そこには全身真っ黒の衣装のサングラスの男が笑いながらこっちを見ていた。確か一瞬恐怖を感じた。だがその男の後ろの壁にあったチラシに僕の目は釘付けになった。
『シェアハウスしませんか?』
その当時の僕は、その時の生活に飽きていたころだった。
ちょうどいいと思い、その日のうちには電話していた。
そしてこのシェアハウスに越してきた・・・・・・・・・
「大丈夫?」
白い服のブロンドのショートカットの女性が心配そうに僕を見つめていた。
「ははは、気にしないで下さい。」
一麻は笑みを返した。すると、その女性は安心したように笑った。
「よかった、私の料理がだめだったんじゃなくて。」
「そんなわけないです、天深≪あまみ≫さんのつくるご飯が不味いわけないじゃないですか。」
天深さんは少し笑って、台所へ戻った。
と、それと入れ替わりのように浴室のほうから黒い長髪の女性が出てきた。
「あ、一麻がおいしそーなの食べてる。私も~。」
とシャワーを浴びたらしい亜希≪あき≫さんが天深さんに注文した。天深さんは特に嫌がる様子もなく亜希さんの分と自分の分を用意し始めた。
天深さんはとてもいい人だ。とても優しいし、面倒見もいい。会社勤めの僕の朝食をいつも用意してくれる。
それに対し(?)亜希さんはまあ普通の人だ。いやどっちかというと冷たい感じがする。いつも自分のこと優先だし、周りを見ない。それに天深さんと対照的に笑みも少なく、冷徹な感じがする。
まるで天使と悪魔だ。
いや、実際そうなのだ。
まず先に天深さんがこのシェアハウスに越してきた。その時の最初の挨拶が
「こんにちは。これからここで暮らします天使です。地上での名を夕元天深とします。」だった。
「え?」と聞き返すとご丁寧に輪っかと羽まで見せてくれた。
そして次の日、亜希さんが来た。こちらの最初の挨拶も
「どーも。悪魔です。辰巳亜希って名前で通しますけど。」と、インパクトのあるものだった。
一話目短くて済みませんでした。
恋愛要素や、一麻の活躍などもこれからです。この話はホントに、キャラ紹介程度に思ってください。
近いうちに2話目目も投稿するので待っていてください。