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(2)

  ここか、江ノ川水族館。

   俺は待ち合わせの駐車場にそのままバイクで向かう。

  「お、いるいる」

   もう全員揃ってるよ、ちょうどバイクの駐車場だし、あそこに止めるか。

   俺はそこに向かい、アクセルを徐々に緩め、エンジンブレーキを使いながら徐々に   近づき真ん前の駐車場に止めた。

   俺がヘルメットを取ると、意外と青波たちは驚いていた。

  「これあんたのバイク!?わわぁ、今度のせて!・・・・じゃなくて遅い!5分遅刻」

  「あ、ああすまん」

   俺はヘルメットをかけ、青波と葛城、あと・・・・誰だこの女?

  「紅免許持ってるのか?」

  「え?ま、まあ、とったばかりだけど」

   初めて喋った、葛城。

   と、俺がバイクから降りると碧波はなぜか俺を凝視している。

  「なんだよ?」

  「あ、あんた私服だと、そこそこ・・・・・・・・・な、なんでもない!」

   ???なんだこいつ、服褒めてるのか?まあ、これは俺も気に入ってるしな。

   当たり前の反応だ。喧嘩の時の一張羅・・・だから刃がついてたのか・・・・

  「お前もよく似合ってるぞ、これで化粧がケバくなければな」

  「あ、あんたのためにしてるわけじゃない!」

  「俺は碧波さんいいと思うよ、お化粧してて」

   うおっ、出た、爽やか葛城。

  「あ、その、ありがとう」

   な~に、照れてんだこいつ。お世辞に決まってんだろ、アホ!で、だ。この女誰だ。

  「紅君も私服いいと思いうよ」

   と、今度はこの女が話しかけてきた。

   だ、誰だ?な、馴れ馴れしいぞこいつ。

   って顔をしてしまったんだろうな、俺は。

   それに気づいたこの女の人は、

  「あ、そうだよね、話したことないもんね、同じクラスの春音 みきです」

   ああ、同じクラスの、知らなかった。

  「ど、どうも」

   その人はたしかにすごく可愛い。でもなんだろう、何か違和感を感じる。

   大人っぽいルックスで、清楚な感じのロングな黒髪。

   こんな美人で清楚そうな娘を連れて来るとは思わなかった。何関係だ?

   もっとこのメルヘン女みたいのが来ると思ってたからな。見たとこ不良でもない。

  「じゃあ、行こっか」

   と葛城の指示とともに俺たちは水族館に入った。とりあえず、俺たちは歩いて回る 

  ことにした。そしていろいろ水槽を見て回る。俺はひとりでいろいろ見てまわろうと 

  歩いていると、

  「わぁ、すごい!なにこれ!」

   ・・・・・・・・・

  「これ何!?気持ち悪っ」

   ・・・・・・・・・・・・・・・・

  「わぁ、おっきい!」

  「・・・・・・・・って何でお前は俺についてくるんだ!葛城のとこ行け!何のため 

  に来たんだお前!」

  「い、いや、でも、その緊張するし」

   はぁ。

  「そういえば言ったのか、ちゃんと」

  「え?ああ、その、まだ」

  「ああ?お前このままだとやばいぞ、それでいて俺についてくるって、もっと誤解さ

  れるぞ!ほらさっさといけ」

  「もうっ!分かった!あんたもついてこないでよね!」

   誰がついていくか。碧波はひとりでジュゴンを見ている葛城の方に向かった。俺は

  このクソでかいカニの前でうまそうと思いながらベンチに座る。

   と、そこで、隣に誰か来た。

  「あ、えっと、は、は、はる・・・・」

   名前が出ん。

  「春音です、春音みき」

   ああそうそう、春音みき。

  「ああ、どうしたんですか?」

  「敬語じゃなくていいよ、同級生なんだし」

  「そ、そうだね、で、どうしたの?」

  「特に用はないの、ただ、あっちにふたりいるからこっちに来ただけ」

  「ああ、そうですか」

   正直言うとちょっとひとりにして欲しい、碧波で疲れた。

   俺は今このカニのことで頭がいっぱいだ。こんなカニがいたらどれだけたらふく

  食えるか。

  「このカニ、美味しそうね」

  「え!?」

  「あ、ごめんんさい!率直な意見を口に出しちゃって」

  「い、いや、俺もどう調理しようか迷ってたとこだから」

  「ちょ、調理?ふふ、気が合うわね」

  「そ、そう・・だね」

   なんだろう、この人、やっぱり妙な違和感を感じる気がする。

   それでもって俺と同じ匂いがする?

   よくわからん。

   とそんなこんでカニを見ていたら、すぐに昼の時間になった。

   とりあえず近くのレストランに入ることになったが・・・・・・

  「おい、だからんなんでお前が俺の隣座るんだよ!?」 

   俺は耳元で碧波に言う。

  「しょ、しょうがないでしょ、い、嫌かもしれないじゃない!」

   いや葛城に誘われたのに誘った子を嫌うわけ無いだろう。

  「で、ちゃんと会話できたのか?」

  「え?いや、その、」

   聞いたところによると、葛城が言った言葉にうんとしか答えなかったらしい。

   それでは会話が成り立たん。あほか、一回生まれ変われ。

  「いいか、次はしっかり話せ、つかまずは好きな人いる?とかいきなり聞いちまえ」

   そうだ、それが手っ取り早い。つかな、俺に恋愛のこと言われても分かんねぇんだ

  よ。というかこいつのほうが慣れてるだろ、そういうの、ギャルだし。

  「わ、分かった」

  「じゃあ、今行け」

  「な、なんでよ!?」

  「ねぇ、何話してるの?」

   と、あの春音みきだった。

  「二人で話すのはちょっとなぁ、私も入れて」

  「あ、俺も俺も」

   と、葛城と春音。

   俺はとんっ、と碧波の腕を肘で付く。

  「あ、えっと、ふたりは好きな人とかいる?」

  「わぁ、いきなりの質問だねえ」

  「俺もびっくりした、俺は今のところいないかな、しいて言えば、愛ちゃんが一番好

  みかな」

   うおぉ、なんだこいつ、こんな恥ずかしいこというのかよ。

  「え?わ、私!?」

  「うん」

   葛城は爽やかな笑顔で答える。

   春音もニコニコわらっていた。

  「あー俺ちょっとトイレ」

   と、俺は棒読みで立ち上がる。

   この空気に俺はついていけない。まだ慣れていない。

   ちょっと気まずい。

   そして俺はトイレを済ませ、手を洗ってると、鏡を見ると、茶髪の髪がちらつい

  ていた。アホだろ。馬鹿だろ。しかも男子トイレ。

  「おい」

  「えぇ!?」

  「えぇ!?じゃねぇ!」

   碧波だった。

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