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  「もう一度聞く、覚悟はあるのか?」

  「あ・・・・・・・あ・・・・お、ま」

   ?

  「ま、参った・・・・・・・・・」

   その言葉を言った瞬間奴は崩れ落ちた。俺はすっとカラコンを付け直す。相変わら 

  ずの痛さだ。俺はそっと近寄り、やつを立たせる。

  「お前は負けたからずっとその気持ちだったんじゃない、負けを認めなかったからず

  とそんな気持ちだったんだ、違うか?」

  「くっ!」

  「悪いが俺はここでもう生まれ変わっている、もうあの時には戻らない」

  「なっ!?」

  「たのむ」

   今度は俺が頭をさげる。

  「わ、分かった、お前のことは誰にも言わない」

   俺は頭を下げ続ける。

   よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。ラッキー。ばらされずに済むぜぇえ!!!

   ちょろいちょろい、こんな堅物ちょろいぜ!

  「す、すまん、恩に切る」

  「お前の名前、聞いておきたい」

  「ああ、紅 蓮」

  「覚えておく、それにあのモヤモヤがなくなったきがする」

   そのデカイ体でそんな少女漫画みたいなセリフ言わないでくれ。

  「お前の名前は?」

  「田川涼たがわりょう

   清々しい名前だな、その図体で。

  「田川ひとつ言わせろ」

  「なんだ」

   がっ。

  「うっ」

   俺は思い切りやつの髪の毛を握り顔を持ち上げる。

  「女に手を出すんじゃねぇ、男じゃねぇだろ」

   そう言って俺はやつを開放してやる。

   でも、もう、そんなことはしないだろう。

   目がさ、目が。目が前とは違くて

  

  

    ――――強くなったきがする。

  

  

   

   あのあと、少し遅刻して俺は教室に戻った。碧波がすごい顔で俺を見てきたがとり 

  あえず無視。それがいいと思った。でもそのあとの10分休み。一応碧波に報告に行っ 

  た。またギャル軍団と不良集団が心配している。というかなんで俺としゃべるだけな 

  のにあんなに、心配するんだ。俺はそんな害虫か!?そしてその主の言い分はこう。

   俺といるのを見られるのはあまりいやらしい。

  「あのあと大丈夫だったの?」

   目に涙をためて言ってきた。その言葉は意外すぎて、そしてその表情はとても可愛

  かった。俺は、あんた何私に大声出してんのよ!?とか、赤目に会わせてとかだと思 

  っていた。だが180度違う言葉に俺は動揺を隠せなかった。

  俺は泣きそうになっている碧波を少しなぐさめ、そして何もなかった、怪我もない

  というと安心しきった顔で、今度は毒舌を吐いてきた。

  「ふんっ、あんたなんかぶっ飛ばされちゃえばよかったのに」

   ああ、そう、いつものコイツに戻った瞬間だ。

   ああ、さっきの涙目で心配する碧波だったらどんなにいいか。

   あのまま永久保存しても良かったのに。

   でも、ま、コイツがずっとあんなんだったら気持ち悪いしな。

   それにまぁ、結果オーライだったし。

   いつものこいつの方が俺も気が楽かもな。

   毒舌を履いて自分の席に戻る時に見せた横顔は、怒こっていたはずなのに、なぜ

  か俺には、

  

  

  ――――――笑顔にみえた――――――

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