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(2)

  さん付けでいいんだよな、そうだちゃんはキモイし、呼び捨てもいかがなものだ。

  「それ、取り返して、っていうかこっそり取り返しといてあげたのよ」

  「え、あ、ありがとう、でも、なんで?」

   と、聞くとはぁ、とため息を吐き息を吸った。

  「あんまりああいうのは好きじゃないの、別にあの人たちが嫌いってわけじゃないけ 

  ど」

   ああいうのってああ、ああいうのね。

  「そ、そうなんだ、そうには見えないけどなぁ」

   とか、言ってみると、今のは別に悪気なく行ったんだが、そうとは向こうには聞こ 

  えなかったらしい。

  「あ、あんた!?喧嘩売ってんの!?」

  「い、いや、そんなことは」

  「ああ、何女にビビってんの?バッカみたい、これだから普通の男より不良のほうが 

  全然いいのよ」

   ああ、不良が好きなのね。さすがギャルだ。

  「ああ、ごめん」

   めんどくさいから誤って即帰ろうとすると、

  「それだけ!?」

  「え?」

  「お礼のひとつもないの!?」

   といきなり詰め寄ってきた。

  「お、お礼って言っても何もできないし」

  「お茶おごるとかなんかあるでしょ普通!?」

   お、お茶?ってこいつ、あいつらと遊びに行くんじゃないのか?

  「えっと、それより、遊びに行くんじゃないの?」

  「はぁ?あんたのために放棄してきたんでしょ!?ソレにその財布がどうせないんだ 

  し、お金もないのよ、どうせ行っても財布がない!!ってなって即解散よ」

   ああ、なるほど。

  「そ、そうなんだ、す、すまん」

  「別に、でもお礼ぐらいしなさいよね、あの中には葛城君もいたのに」

   ん?葛城?ああ、あの不良グループの茶髪の爽やかイケメン。

  「へ、へぇ~。ご、ごめん、好きな人とあそびたかったよね」

  「な、なんで好きって知ってんのよ!?」

   いや、お前が勝手に言ったんだろうが!?

   馬鹿なのか、こいつ、生意気だし、本当ギャルうぜぇ。

  「あ、明日でいいかな?今日はちょっと買い物して帰らなきゃいけなくて」

  「明日!?せっかく待っててあげたのに!?」

   ああ、うるせぇ、耳がキーキーする。

  「だ、ダメかな?」

  「はぁ、わかったわ、明日行きたい店あるからおごってよね、結構高いから」

   おいおい、お茶じゃないのか?なんでそんなに高い店なんだよ。

   でも頷くしかないか。

  「わ、分かった、じゃあ絶対よ」

   一応恩返ししなきゃな。そう言って碧波は帰っていった。ああ、結局カツアゲみた 

  いだな、これ。これからこんなことが続くのかと思うと憂鬱になっていた。それでも 

  妹のためにし っかりと買い物を済ませて家に帰った。

  「ただいま」

  「あ、おかえり、お兄ちゃん!ハンバーグは!?」

  「ああ、買ってきたぞ、あんずの好きなハンバーグだ」

   俺の妹あんず、六歳。 年の離れた妹だ。両親は共働きで俺がコイツの面倒を見て 

  いる。コイツも小学生になったので帰りもひとりで帰ってくるのでもう迎えもいらな 

  い。俺の可愛い妹だ。

  「学校どうだったんだ?」

  「ん~、お友達いっぱいできた~」

  「そうか~、よかったな」

   俺はハンバーグを焼きながらあんずはそれを見ている。

  「あんず、皿」

  「はい」

   ぽんっと焼けたおっきいいハンバーグを乗っけてやる。

   その上に目玉焼きも乗せてやる。

  「よし、食うか!」

  「うん!」

  「「いただきます」」

   っと、やっぱり話し方もこの話し方が一番だ。へんに気を使わず、自然に。

  「おい、あんず、ブロッコリーも食えよ」

  「え~、嫌いだもん」

  「じゃあ、一個食ってやるから一個食べろ」

  「やだっ!」

  「しょうがねぇな」

   俺はブロッコリーを食べてある。自分でも思う。

   俺はことごとく妹に甘かった。

  

   次の日俺は今日はバイクで登校はしなかった。

   流石にバレたらやばいしな。前まではバレても気にしなかったが今は違うんだ。    「おっす!」

  「おう、おはよう」

   後ろから声をかけてきたのはまたもや優太。ありがたい、こいつとはちゃんとした

  友達になれそうだ。 俺と勇太はたわいもない話をしながら学校に向かう。中学の時 

  の話や、その他もろもろ。赤目の鬼のワードを聞くと死にたくなる。

   ふと思いだし、昨日の碧波のことを話してみた。

  「何っ!?財布を取り返してくれたァ!?」

   とのオーバーリアクションありがとう。

  「お礼に今日はなんか高い店の喫茶か何かに行かなきゃならないんんだよ一緒に」

  「い、一緒に!?」

   またもやオーバー。

  「ああ、めんどくさいことこの上ないよ」

  「何を贅沢な!」

  「俺あんまりああいうギャル系って好きじゃないんだよね」

   勇太はなんで紅蓮なんかに!とか言ってるがここはスルーでいいよな。

   そして学校に行きクラス前の廊下を歩いていると。

  「ん?なんか騒がしくないか?」

  「え?」

   俺もちょっと耳をすませると、クラスから、

  「やめなよ!悪気はなかったんだよきっと!」

  「そうだよ!ソレにたしかに昨日のはちょっとこっちも悪かったし!」

  「おい、山田、落ち着けよ」

   とか、なんとか聞こえてくる。

   教室で言うとちょうど後ろのほうだ。ああ、めんどくさそうだし、前から入るか。

   そういいや、山田ってのは昨日の金髪か。

  「山田かよ、どうせまた昨日みたいなことしてんだろ」

  「ああ、そうかもね」

   正直どうでもいい。勝手にやってろって感じだ。

   勇太が前から先に入ると、

  「えぇ!?」

   ん?驚愕の表情をしていた。

  「ん?」

   俺も覗いてみると、

  「!?」

   何やらあの山田って男が押さえつけられてる、不良グループの奴らに。

   そして、何やらギャルは誰かを守っているようだった。

  「ってあれ、山田が碧波になんか言ってないか?」

   え?あおなみってあいつか?

   よく見ると女子が守っていた子は碧波だった。

  「愛はいい子だからそれでやったんだよ、許してあげてよ!」

   と、多分中学も碧波と一緒とか自己紹介で言っていた、えっと加藤ってギャルが言 

  った。

  「うるせぇ!この俺から財布盗みやがって!女だからって容赦しねぇぞ!しかもその 

  あとなんつった!?カッコ悪いだのなんだのとぬかしやがって!」

   ああ、そういうことか、把握したぞ。

  「お前の財布を取り返したことで怒ってるんじゃないのか?」

   ああ、そうらしい。しかも生意気な碧波のことだ、何か言ったのだろう。でも、な 

  んだ、あいつがあんなビビってるって。碧波はすごく怯えた表情だ。ああ、もしかし 

  たら男が苦手?ってよりあまり得意じゃないのかもしれん。昨日もそんな感じだった 

  しな。でも俺とは普通に話してたぞ?そうか、不良と話すのが苦手なのか、不良は好 

  きらしいけど。硬派な不良が好きなんだなきっと。葛城が率先して山田を止めている。

  ああ、そうそうああいう、硬派っぽい不良のやつが好きなんだな。でも、山田はガタ 

  イがよく、すぐにでもあの腕を振り解きそうだ。しかも、完全にぶん殴ろうとしてる 

  よな・・・・・・はぁ、昨日助けてもらったし、仮は返さねぇと俺の気は収まらない 

  し・・・・お茶おごるよりましだろ。そうだ、金を払いたくないからだ、、決して心配 

  してとかじゃない。俺はその現場に向かう。我ながら言い訳をだらだらと・・・

  「っておい!紅蓮!何やってるんだよ!?」

   ああ、メンドくせぇ、でも仮は返す、それが男だしな。

  「どけェェェェぇ!」

   そこで山田が葛城の腕を払い、碧波に襲いかかった。ほかのギャルを払い、あおな 

  みを殴ろうと拳を構える。碧波はギュッと目をつぶり、動かなかった。。だが、山田の 

  拳は、

   すかっ。

   ・・・・・・・・・・・空振りだった。

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