9話:恨みを持った生存者
南部中の同期、穐近、杉本らと再会した北村達。部隊ごとに説明をし、訓練を始めようとした直後、北村に飛んできた矢。その矢を放ったのは予想外の人物だった。
『ぐっ!!』「廉くん!」「ちっ、どっから飛んできた、あの矢は。」「ん!?篤、ちょっと来てくれ。あの建物の中に誰かいた。龍成とあき、侑紀も一緒に。高橋と海老原は廉くんを早く病院へ。泰斗、あとから無線で連絡する。行くぞ!」「おう!」
「篤、そっちの部屋はどうだ。」「いや、いない。そっちは?」「こっちもダメだ。」「くそっ!逃げられたか…。」「!?小出、あいつ!」「ああ。さっきここにいた奴だ。」「早く行こう!」
「おい、待て!お前、さっきこの建物で何をしたいた!?」「…別に、何も。」「嘘つくな!お前がさっき何かやっていたのを見てたぞ!」「…そう。バレた?」「こっち向け!顔を見せろ!」「どうして?」「お前が誰か知るためだ。さっき廉くんに矢を放ったのもお前だろ!」「あら。そこまで。流石だね。やっぱりターミナルは。」「どうしてターミナルを知っている。」「ってかその前に、俺と一緒に飯食って、サッカーしたの覚えてない?小出、篤。」「お前も南部中の!?」「それに、eruzaのことも知ってる。」「何!?じゃあお前、eruzaの手下か?」「それは違う。ただ…。」「すべこべ言わずにさっさと顔見せろって言ってんだよ!」「相変わらず荒いな、龍成は。わかったよ。」「俺らの名前まで…。…お前!目黒!」「どうしてお前が!お前はあの崩壊事件で死んだはずじゃ。」「バカ言うなよ。俺がそんな事で死ぬか。まぁ、そのおかげで両腕の指を二本ずつなくしたが。」「そんなことより、何で廉くんを!」「フン。廉は俺を見捨てた。あの時、俺は廉を呼んだ。でも気づいてくれなかった。」「それって、ただ声が小さかっただけじゃ…。」「うるさい!俺は呼んだんだ!大声で呼んだ!でも気づくことはなかった!だから…恨みを晴らしただけだ。」「性格も何も変わってないんだね。」「小出は何か変わったのか?」「あぁ。廉くんのおかげで少しは変われた気がする。な、篤。」「うん。廉くんがいなかったら、何をしていいのかわからなかった。」「だから、そんな廉くんを…大切な仲間をあんな目にあわせたお前を絶対に許さない!」「好きにしろ。ただ、今お前達がかかってきたところで、何も出来ないと思うけど。」「何っ?ホント、自身満々だな。やっぱり何も変わってないな。」「フン。」「みんな、行くぞ!【泰斗、東の赤い建物に来てくれ。廉くんに矢を放ったのは目黒だった。】」
「こいっちから連絡だ。【泰斗、東の赤い建物に来てくれ。廉くんに矢を放ったのは目黒だ。】」「目黒!?死んでなかったのか?」「よし、早く行こう。」「おっしゃ!」「泰斗!」「どうした、海老原。」「廉くんの状態を伝えにきた。」「どうだった?」「それが…。」