8話:話し合い 3
榎本、北郷、山口、アガグオの四人と再会した北村達。力を試せたという榎本だったが、本当の目的はわからなかった。ちょっとした再会だったが、北村の心には深く何かを残していた。そんな中、新たな事態が起こる…。
「廉くん、えの達の目的ってなんだったんだろう。」「あぁ。えのは意味がないことはしない人だ。まあ、とりあえずこの件はあとにしよう。」「そうだね。早く訓練所に戻ろう。皆が待ってるから。」「うん。小出、篤、ありがとう。」「いやいや。困ったときはお互いさまだよ。」「そうそう。」「だね。行こう。」
「廉!みんな並び終わったよ。待ってるから早く!」「ああ、ありがとう。高橋、海老原。」「北村、何があったの?」「えの達が来たんだ。」「え?榎本が?」「うん。」「何で来たの?」「それがわからなかった。ただ、力を試したかったって。」「どういう意味?」「だから、わからないって!」「それより早く行かないと。」「そうだった。海老原、どこの広場だ?」「B広場。」「わかった。行こう。」
「お、来たぞ。みんな、姿勢を正せ!」「みんな、待たせてすまなかった。では、これから訓練のことについて説明する。小出、資料を。」「はい。」「まず、赤の部隊。赤は渡辺の指示に従って、1-1コートで訓練を行ってくれ。ここは縦2㎞、横1㎞の敷地だ。体力や射的精度の向上、それに体感トレーニングを行ってくれ。詳しくは渡辺から聞いてくれ。」「はい。」「次は青の部隊。青は2‐4コートで行ってくれ。ここには匂いの強い薬品や、機械の設備が整っている。もっと探索に力が入るように、訓練をしてくれ。戦いの始まりにこっちから向こうの本拠地を見つけ出し、潰す。そのためには、青の部隊の力が必要だ。頼んだぞ。」「はい。」「黄の部隊。黄は2‐1コートで行ってくれ。今までと訓練メニューはあまり変わらないが、乾の提案で赤の部隊と同じメニューもやってくれ。そうすれば突入時だけでなく戦闘にも参加出来る。」「はい。」「何か質問はあるか?…ないな。それでは最後に、今回の戦いに備え、新しい部隊を作る事にした。今回、eruza側の敵の数がまだはっきりしていない。つまり、相手の戦力も分からないということだ。そこで、俺は昔の仲間を集めて『特別南部部隊』を作った。」「南部部隊?」「そうだ。そこに入るのは、すべての面において能力が高い人だ。今からそのメンバーを言う。まず、赤の部隊から。渡辺。」「はい。」「青の部隊は、泰斗、伏見。」「はい。」「黄の部隊は、乾、五味。」「はい。」「それと…。」「久しぶり!こいっち、篤!泰斗もわたも!」「あき!にっしーも!」「残りのメンバーは杉本、西坂、たけ、龍成、穐近、石橋、村田の七人だ。よろしく。」「おう!」「それでは…」その時、北村の頭を一つの矢が通過した。