1話:はじまり
序章
「北村隊長。未だ『eruza』が誰なのか、どこにいるのか、わかっていません。」「そうか。引き続き、調査を続けてくれ。」「はい。」
eruza。不明の人物。我々ターミナルは、この人物が誰なのか調べている。調査を開始してから一年半。未だその正体を知る事は出来ない。「篤、eruzaの携帯の電波はどうだ?」「電源が切られていてだめです。」「小出、メールの返信や電話はきたか?」「いや、返ってこない。」「くそっ。」「ん!?これは!」「何だ、小出!」「eruzaからメールです!」何!?」「篤、メールの発信源は?」「今調べてます!」「小出、メールの内容の確認を!」「はい。」「篤、どうだ。」「…それが…。」「何だ?」「このメールが発信された時間、誰かがメールを発信した記録がありません。」「何だと?」「eruzaがこのメールを発信したのは7時35分36秒371。ですが、発信記録があるのは7時35分36秒187と7時35分36秒873です。」「どうして発信記録がないんだ?」「わかりません。」「小出、メールの内容は?」「はい、僕の正体を暴こうなんて考えないでください。絶対に無理なんで、です。」「なめてるな。」「ああ。」「ちょっと待って。北村隊長、どうしてeruzaは俺たちがあいつの事を調べているのを知ってるんだ?」「こっちの行動がバレている、ということか。」「まさかターミナルの中にスパイがいるのか!?」「それはない。二十四時間監視をしているし、携帯の所持も認めていない。」「じゃあどうして。」「とりあえず、この件は置いておいて、早くeruzaの正体をつきとめよう。」「そうだな。あの事件を解決させるためにも。」
あれから一ヶ月が経った。メールや電話は一回もなかった。「篤、奴の居場所はわかったか?」「いや、この前メールが発信された場所を人工衛星から探してみたけど、その場所がわからなくて。」「そうか。」「ちょっといい?もしかしたら、eruzaはコンピュータをいじって電波とかを色々いじっているのでは?」「そうか。だから時間がずれたり電波の発信場所がわからないのか。」「流石小出。」「だな。」「北村隊長。」「どうした、篤。」「こっちも有力情報です。」「何だ?」「奴の居場所の範囲が特定出来ました。」「本当か!?よくやった。」「流石篤だな。」「小出が電波をいじっているっていうヒントをくれたから、逆にいじられた電波を探してみた。」「それより、小出、篤。」「何ですか?」「この事を青の部隊に伝えてくれ。そして篤のデータを元にその周辺をくまなく探してくれ。絶対に見つけ出すんだ。」「はい!」「よし、いよいよだ。」その時、篤が不気味に笑っていた。