ヤンキーになる方法
葛城安耶がヤンキーを目指します。
とりあえず形から入るのが彼なのです。
俺は、小さな頃から、怪しげな人間に目をつけられやすかった。
親の保護なしに出歩けるようになってから、さらわれた回数は覚える気もないほど。
ストーカーの数も多くて悩んだ末に不良になることにした。
不良って、やっぱ、強さの象徴でもあるし、何か格好良いし……俺的には憧れる。
何事も、格好からだとまずは、手近な薬局に飛び込んで、ブリーチ剤を購入してみた。
髪の毛はパサパサになったけど、俺的には大満足。
後は、服装だな。 不良って何着ればいいんだ?
俺の髪の毛を見ただけで、父親は口を大きく開けたまま硬直していたが、母親は通常モード。
だが、次回からは、きちんと美容院に行くことを約束させられ、不良の服装に関する軍資金を出してくれたよ。
両親も、俺の誘拐騒ぎやストーカーには、迷惑を被っていたので、最終的には協力してくれた。
俺の大切な幼馴染達は、賛否両論といったところか。 強太郎とメグは、最初の驚愕が過ぎれば後は普通だったが、優等生の涼介は動揺も激しかった。
だが、俺は気にせずに強太郎にどうすれば、不良になれるのかと聞いてみた。
つまり何を着たら不良なの? 何をどうすれば、不良になれるのか? 強太郎の家は今でこそ不動産業中心の真面目な会社だが、以前は一帯を締める親分だった。
強太郎の親父さんは組を解散させ、会社を起こした。
おじさんは、豊富な資金を元に確かな経営手腕を発揮し、ちょっとした成金社長である。
成金社長なのに、趣味は成金っぽくはなくて、格好良いので俺の憧れの集大成なのだ。
息子の強太郎は、名前の通りに頑健な体を持って、この辺一体の不良のボスをしている。
ぜひ、お手本にしたい。 俺強くなりたいんだもん。
「と、いうわけなんだ。 教えてよ、強ちゃん」といって俺は深く頭を下げた。
「不良指南? さすがだわ、安耶それは、いいかも」楽しそうに言い放つメグは絶対に面白がっている。
どんなことでも、素早く柔軟に対応できる、メグはある意味とても男前だ。
今も興味津々といった感情がわかるほど、楽しそうにしている。
強太郎ときたら、「不良の服装たって、うーん」と唸ったきり、考え込んでいた。
涼介ときたら、未だに顔が呆けたままである。
「涼ちゃん、俺強くなるからね」何となく涼介の目を見ながら言った。 涼介には小さな頃から世話になっているので、何となく言ってみた。 これからは、安心してみたいな?意味合いで。
そうしたら、もっと複雑そうな顔をされた。