「どういう事だってばよ」
朝になりいつも通り登校したら、教室がなんだか騒がしいようだ。
廊下に人だかりが出来ていて、入る前から何事かを予期させる。
なんだなんだ、勇者が凱旋でもしてんのか。
お前ら村人か。
違うか町人か。
まぁ私には関係のない事だろうけど、自分のクラスに入れないのは少々いただけない。
なんか面白い事でもあったのかと野次馬根性で覗いてみたいけど、人垣を押しのける勇気は持ち合わせていないのだ。
朝のSHR前にはさすがに居なくなるだろうから、それまで廊下で待つか。
そう思って少し離れた窓際に背を預けた時だった。
「和泉」
聞き覚えのあるイケメンボイスが人垣の向こうから聞こえた、と思ったら人垣がわっと割れて、場違いにモーセとか思ってる間に目の前にはイケメンが立っていた。
さすが折出君、朝から完璧なイケメン具合です。
「おはよう」
「お、おはよう…?」
にこりと微笑まれて周りが若干ざわついた。
っていうかどうしたのかな彼。
罰ゲームは告白だけじゃなかったの?
「昨日アドレスを聞き忘れていた事に後で気付いてな、今教えて貰っても構わないか?」
「………あ? はぁ、アドレスね? うん」
罰ゲームはもう暫く続くようだ。
折出君のスタイリッシュな携帯と、私のテキトーな携帯を重ねて、赤外線送信で情報を送り合う。
こうして私の携帯に、初男の子アドレスが登録された。
「それじゃあ、メールする」
「……うん、じゃーね」
そう言って折出君は自分の教室方向へ帰って行った。
確かS組だっけ?
A~Dが成績順で埋められて、Sは特別進学クラスだ(ちなみにここはB組、平均より若干上といった感じだろうか)
イケメンで頭も良くて、その上運動も出来るんだから神様の依怙贔屓を感じてしまっても仕方ないよね。
とか思ってたらわっと囲まれた、主に女子に。
「ちょっと和泉さん、どういうこと!?」
「折出様とどういう関係!?」
「折出様のメアド教えて!」
最後のwww ねーよwww 流石にねーよwww
いくらなんでもアドレス横流しするほど性悪女にはなれねぇです、はい。
ていうか折出様呼びしてる子は、『折出様親衛隊』のはずなんだけど、そんな風にアドレスゲットしていいもんなのだろうか。
これ以上はもみくちゃにされた挙句携帯奪われかねないなと思い、正直に話す事にする。
「その、昨日折出君に付き合ってくれって言われたから、かな?」
罰ゲームで、という事は伏せておいた。
私が種明かししていいものなのか分からなかったから。
しかし私の発言の後の教室内は阿鼻叫喚で、黄色い声以外にも野太い声が聞こえて思わずドキッとしてしまった。
さすが折出君!
男子にも人気があるのね!
私が男だらけの折出ハーレム☆を妄想している間に担任がやってきて、それぞれ自分の教室へと帰って行った。
お陰で私はようやく席に座る事が出来た。
ふー、やれやれ。
担任がいつもの気だるい様子で朝の連絡事項をしゃべってるが、特に目新しい話はないらしい。
鞄の中身を机に移動させたりしていると、右隣の八重木さん(可愛い系噂好き女子)が小声で声をかけて来た。
「ねぇ、折出君と付き合い始めたのって昨日の放課後?」
私はちらっと目線を合わせた後、小さく頷くことで答える。
「後で詳しく教えてね?」
そう便乗してきたのは私の前にいる古仲さん(しっかり者クラス委員長)
この子もそういうの気になるんだーと思いつつ、小声で「いーよ」と答えた。
ら。
「「「絶対よっ!!!???」」」
クラスの女子大半がハモりました。
可愛い女の子達に囲まれるのはちょっと嬉しいけど、皆さん目がギラギラしてて怖いです。
しかもなぜか私が先生に怒られた。
なにこれ理不尽。
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