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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年11月20日

※この作品はフィクションであり、実在する人物・団体等とは一切関係がありません。

11月20日(日)

 いつも日記を書いているのは深夜である。健康にはよろしくない気がするが、一日のまとめとして書く日記は夜か深夜にしか書くことができず、夜はキノコのせいで気絶しているので、いつもこうして深夜に書くしかない。もちろん寂しい。榎本なごみは相変わらず私の部屋で寝ているので、寝ている人間の隣で書く日記は余計にさみしい。


 時間は遡り、今日の昼間のことである。日記と違い、猿に見せるつもりの文章は火が出ているうちに書いている。日が出ているうちに家に閉じこもって一人(一匹?)にしか見せるつもりのない文章を書いていると、自分がとてつもなく不健康な人間であるような気がしてくる。精神衛生上、これはよろしくない。


 それを考慮してくれたのか、榎本なごみは私が文章に集中しているすきにコンビニへ行って発泡酒を買ってきた。誰も咎めなかったので、私はそれを飲んだ。久々に飲む酒の味は、ただひたすら苦く、ただひたすらに炭酸で、味の印象としては、薬品、と称するのが最も適していると思われた。榎本なごみは私に酒を渡すなどという堕落を促進させるようなことをして、いったい何が目的なのだろうか。


 なので、晩餐の席にて、榎本なごみにいつまで家に居続けるつもりなのかと訊いてみた。「ずっとです」私は驚愕して、家族にそれでいいのかと尋ねてみた。母は「構わないわ」父は「いいんじゃないか」妹は「別にいいけど」と答えた。そこで旗と気が付いた。どうして家族には榎本なごみの姿が見えているのか。それに発泡酒を買って来られたということは、コンビニの店員にもその存在が認識できているはずである。それなのに、どうして食事を与えなくても平気な顔をしていて、私が勝手に榎本なごみの正体について考えてみたときに「知ってるくせに」なんて言ったのだろう。

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