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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
95/366

2011年11月17日

※この作品はフィクションです。

11月17日(木)

 自分がいなくなっても世の中は何も変わらない、そんな人間は世の中に五十人や百人や、そんな程度ではない筈である。そんな人々をもっと役立てられるように世の中がなればいいと思う。具体的には、すべての人間が他人と関わらなくてもこなせる程度の仕事を用意する。その内容までは、まだ思いつかない。だからこうして日記に書いているのである。日記とはほかに書いても無駄なものを記すものだ。


 ふれあいサロンへ連れて行かれた。そういえば2週間ぶりである。この前仕事を始めたことを自慢していた男は今週もおらず、代わりに水をがぶ飲みしている男がいた。理由は分からなかった。男には誰も話しかけなかった。やがて男は、水を飲み終えると、酔ったような足取りでふれあいサロンを出て行った。男が飲んでいたのは2リットル入りペットボトルのミネラルウォーターだった。ペットボトルの表記が正しいのであれば、その筈である。酒ではないはずだ。酒臭くはなかったし。


 帰ると相変わらず榎本なごみがいた。榎本なごみが家にいる限り、編集者は現れないのではないか。そんな気がする。キャパが決まっているんじゃないのか。そんな気がする。一度に登場する架空の人間は一人までと決まっているのではないか。そういう決まりがあるような気がする。


 晩餐に出されたのは野菜とキノコが入ったラーメンだった。もちろんコスト削減のため袋ラーメンである。「タンメンですね」と榎本なごみは言っていた。おそらく違うと思われる。私はそれを黙って食べ、気絶した。自室で目を覚ますと、隣に榎本なごみが寝ていた。私に付きまとうことで、榎本なごみに何のメリットがあるのか。尋ねてみたかったが、榎本なごみは眠っている。

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