2011年11月11日
※この物語は作者の日記ではありません。作者と登場人物には何のかかわりもありません。
11月11日(金)
気が付くと私はベッドのままショッピングモール内を移動していた。ベッドには動かすためのレバーが備え付けられていて、それを操ることで私は寝ころんだままショッピングモール内を自由自在に動き回ることができた。しかし、ついにベッドを出なければならない時が来た。尿意が襲ってきたのだ。私はベッドのままトイレに入り、ベッドを何とか傾けて用を足そうとした。しかしベッドに寝転んだままだと何をどうやってもどうにもならない。仕方がない、ベッドから降りるか、と思い、ベッドから降りるとそこは現実世界で、私の部屋だった。夢の話で段落を一つ使ってしまったのだ。なんという無意味な日記なのだろう。いや、夢日記は無意味ではないかもしれない。
私の周囲に起こる出来事は、すべて本当の出来事ではないのではないか。夢に妙なリアリティがあったため、そんなことを考えた。編集者はもちろんのこと、榎本なごみも本当に存在するものではない、のではないだろうか。パソコンの文字入力機能の設定をリセットしたことでリセットされなかったことと言えば、ふれあいサロンでの光景くらいだ。しかしふれあいサロンは週に一度しかない。私はこの悪い夢のような現実を生きていかなければならないのか。そう考えると寝たくなった。しかしもう目覚めてしまって眠くなかった。
こんな時は無理矢理にでも何か行動を起こしたほうが良い、そのくらいの知恵は持ち合わせている。私は指を動かすことにした。猿に見せる(といっても猿がまだ動物園にいるという保証はないが。というか猿の正体は不明なのだが)ための文章を書くことにしたのだ。登場人物の男は女をあっさりさし殺してしまい、もう一人の男が警察を呼んだ。どうしよう。このままでは単なる犯罪劇で終わってしまう。しかも何のトリックもない。私は新しい登場人物をこさえることにした。明日までに。
晩餐後の狂いのあまりの気絶から目覚めると、頭の中に新しい登場人物が誕生したので慌てて深夜にパソコンを起動してワードに書き付けた。通報した男の妹である。女を殺した男をかばって、通報した男の妹は女を殺した男と二人で逃避行を開始した。通報した男は二人を追い始めた。これで、まだ物語を続けることができる。私は安堵した。直後、どう物語を続けるつもりなのか、と自問して、安堵は吹き飛んだ。