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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
82/366

2011年11月4日

※この作品はフィクションであり、作者の日記ではありません。

11月4日(金)

 朝、起きると母に呼ばれた。そういえば朝に目覚めるのは久しぶりだ。そんなことを考えながら呼ばれるがまま、命じられるがままに私は朝の食卓に座った。母は私の正面に座っていた。そして私の目の前にはキノコが置かれていた。「昨日、食べさせ忘れていたわ。今食べなさい」どうしても食べなければならないのか、と私は尋ねてみた。「当たり前でしょう」母は言った。だから私はそのキノコを口に入れた。相変わらず赤いくせに味のないキノコだった。


 目覚めたのは夕方だった。私は食卓に突っ伏した状態のまま目を覚ました。目の前には猿がいた。と思ったらそれは榎本なごみだった。どうして榎本なごみはいきなり表れるのだろう。いつも。いつも。「私はあなたにとって都合がいいでしょう?」その通りである。「だからだよ」自分は妄想である、と宣言したも同然の発言だった。私は悲しかった。少し、悲しかった。しかし涙を流すほどのものではなかった。うすうすそうなんじゃないかとは予想していたからだ。


 それが喜びであれ悲しみであれ、感情の激しい動きは行動の原動力になる。私はパソコンのワードを開き、オリジナルの話を少し書いてみた。後のことなどは少しも考えないまま、登場人物を三人登場させた。この三人は恋をするかもしれないし、殺しあうかもしれない。登場人物には勝手に動いてもらうことにした。


 晩餐に出されたのはカレーだった。適当である。テレビを見ていた妹に、晩餐に何を食べたのか訊いてみた。「焼きナス。あとそぼろの肉じゃが。味噌汁」やはり母は私の料理に限って手を抜いていた。そういえば、と私は晩餐の中にキノコを探してみたが、見つからなかった。キノコの処方は一日一回と決まっているのだろうか。

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