2011年11月2日
※この作品はフィクションであり、作者の現状とは一切の関係がありません。
11月2日(水)
概念。眠りという概念。こうして晩餐に出されたキノコのせいで狂って深夜まで意識をなくし、そのまま日記を書きながら朝を迎える毎日を迎える私は、正常に眠れているのだろうか。狂って気絶することは、眠りとは呼べないのではないだろうか。だから私はこのところ、午前中から午後にかけて寝ることが多いのではないだろうか。そんな分析しても、自分の役にしかたたない。いや、自分に対してどんな役に立つのかすら想像できない。とにかく明日は祝日だ。朝のテレビのニュースを見ていて、それに気が付いた。
病院へ行った。自分は狂いやすいタイプなのか、と私は医師に尋ねてみた。昨日思う着いた質問内容を奇跡的に覚えていたのである。「あなたは先天的に狂いやすい体質なんですよ」と医師は教えてくれた。それを掘り下げた質問をしようと思ったが、どう掘り下げたものかわからなかった。そして掘り下げ方がわからないまま、黙っていたため、そのまま診察を打ち切られてしまった。やはり世の中の人間は私を話すことが嫌なようである。
家に帰ってパソコンのメーラーを開いてみると、猿からの返信が届いていた。「ご感想ありがとうございます。今度出る新刊をお送りしたいと思うのですが、どうでしょう」送るにしても、私の家の住所を知っているのだろうか。きっと知っているのだろう。どうやって知ったのかはご存じない。私は、ぜひ送ってください、と返信を返した。重ね語である。
晩餐の席で出されたのはアイスと冷やし固められたキノコだった。さすがにこれは抗議したほうがいいだろうか、それとも抗議したことに腹を立てて「じゃあもう作らない」と言いたいがために、こんなメニューを饗したのだろうか。「文句ないの?」と訊かれた。妹に。久方ぶりに妹から話あっけられた。なので私はびっくりし、しばらく言葉を返せないでいた。数分立ってから、やっと、ある、と一言だけ返すことができた。「じゃあ言えば?」そんなことを言う資格は私にはない、と伝えた。「へー。どっちつかずなんだ。じゃあ死んだら?」妹はよく私に死ねという。子供のころから言われ続けてきた。なので慣れている。慣れているので傷つきもしなかった。