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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
79/366

2011年11月1日

※今日の更新内容は現実とは一切の関係がありません。もちろん昨日分も、一昨日分も、それ以前もです。

11月1日(火)

 パソコンでインターネットを用いて筋肉少女帯の歌を聴いていると不安な気持ちになってくる。たとえ昼でも、である。深夜に比べて感受性が落ちると一般に言われている昼のほうが、狂っている私としては不安になる率が高い。それとも昼間に不安になるようなことをやっているのが原因か。例えばインターネット等。


 実は家からは時間をかければイオンモールまで歩いていくことができる。なので歩いてみた。一時間近くは歩いたと思う。到着しただけで私は疲れ果て、入ってすぐの食料品売り場で空腹に悩んだ。それでも私は奥に進んだ。せっかく苦労して到着したのだから、少しは見て回らねば損、そんな風に考えたのである。周囲は田んぼばかりで、特に見るものもないことだし。そして私はイオンモールの奥へ奥へと進んでいった。よく知らないブランドの洋服店、サンリオのキャラクターショップ、小規模な楽器店などを経て、私は最奥のゲームコーナーにたどり着いた。そこで私は人がプレイしているポップンミュージックをひとしきり眺めた。私は泣いていた。何をやっているんだと、私は泣いていた。


 そんなにゲームができないのが悲しいのであれば働くべきである。私は金曜日には必ずハローワークへ行って仕事を探そう、と心に誓った。金曜日は遠いが、明日は病院へ行って大きく心変わりする可能性が高いが、それでも一応誓ったのである。しかしきっとこの決意は心変わりすることだろう。私はそんな人間だからだ。これは狂っているとか関係なく、生まれつきそうなのである。そういえば、以前医師が言っていた。人間には狂いやすいタイプというものが存在する、と。私はそうなのだろうか。自問したところで答えが出るわけがない。覚えていれば明日の病院で尋ねることにする。


 ゲームセンターからの帰り道、イオンモール内で元編集者とすれ違った。すれ違っただけで、言葉も交わしていなければ目も合わせていない。元編集者は背広を着ていた。何の活動をしていたのだろうか。それから一時間弱歩いて家に帰りつくと、母と新しい編集者が打ち合わせをしていた。私は空気のようにその脇を通り抜けて自分の部屋に戻っていった。居間から漏れ聞こえる打ち合わせの音声によると、母の新しい本がもうすぐ出版されるらしい、とのことだった。タイトルは忘れたが、忘れる程度にインパクトの薄いタイトルだったことは確かである。


 晩餐の席では牛丼が出された。これは牛丼の素を使って作られたものだろうか、やはり母はもう私にちゃんとした食事を作るのが嫌になったのだろうか。分からなかったが、とにかく刻んだキノコは混ぜ込まれていた。私はそれらをまとめて食べた。そして狂った。狂ったまま意識を失った。気を取り戻した現在。午前三時である。

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