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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
78/366

2011年10月31日

※この作品は作者の日記ではありません。

10月31日(月)

 週明けである。今日から日中の人通りが減ると思うと、思わず外に出たくなってしまう。これは狂いが解消されてきた証拠だろうか、それとも酒を摂取しなくなったからこんな活発なことが思いつくようになったのか。私は散歩へ出てみようと思いついた。そんなことよりハローワークへ行くべきではあるが、気分が乗らなかったので私は無目的に外を歩き回った。そしてすぐ家に帰った。寒かったからである。寒さのあまり、冷たい空気が胃を刺激して、歩きながら一度吐いた。唾と唾液しか嘔吐物には含まれていなかった。


 猿というペンネームの作家が書いた小説「このキノコ人間が、」を読み終えた。読みづらい文章が余白は許さんとばかりにぎっしりと書きこまれた、退屈ではあるが嫌いではない小説だった。人が殺される様子が子細にグロテスクに描かれている小説よりは好みである。しかし普通の娯楽小説に比べれば退屈である。ペンネームが普通だったら、きっとこの本は売れなかっただろう。というか、この本は売れたのだろうか。図書館にある本は売れた本であるとは限らない。


 久々にメーラーを開き、猿にメールを出してみた。内容は小説の感想である。猿というペンネームの作家が書いた小説は、嫌いではないが退屈でした、みたいな文面を作成して送信した。メーラーには出会い系業者の広告メールが届いていたのでそれらはすべて削除した。すると猿からのメールしか残らなかった。


 晩餐の席に出されたのは肉まんだった。そんなに母は私のために料理するのが嫌なのだろうか。しかしキノコのサラダは添えられていた。私はキノコを食べて狂わなければならない。狂っていなければ平常心を保てない。なめくじとのやり取りで、私はそれを確信した。

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