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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年10月21日

※この日記は作者の現実とは一切の関連性のない、架空の日記です。もちろん主人公は作者とは違う人物です。

10月21日(金)

 昔々、あるところにおじいさんとおばあさんとその息子と娘とたくさんの孫たちが住んでいました。孫たちが働くのでおじいさんとおばあさんは働かずに済みました。おじいさんは山へ芝刈りに行くこともなく、おばあさんは川へ選択へ行くこともなく、孫たちは誰一人として浜辺へ行く暇もないほど一生懸命働いていたので、その家族の元には何のファンタジーも起こらなかったといいます。という昔話を思い付いた。これに少し脚色を加えれば面白くなりそうな気はするが、さてどうしたものか。


 などという夢を見ているうちに私は病院で目を覚ました。昨日はキノコを口に入れていない、様な気がする。酒のせいで記憶があいまいである。キノコを口に入れていないとしたら何が原因で病院へ運び込まれたのか。酒が原因だろうか。それとも無意識のうちにキノコを口に入れ、それで狂ったせいで自分の身に何が起こったのか思い出せないでいるのだろうか。それか、今までのことは全部夢で、私は最初から入院していたのだろうか。私が日記に書き留めていたことには色々と不条理なことがあるので、それもあり得る。


 病院からはその日のうちに退院させられた。医師から聞いた話によれば、私は急性アルコール中毒による二日酔いで気分が悪いと母に訴えていたらしい。母は深夜に気持ちが悪いと騒ぐ私に耐えられず、救急車を呼んだらしかった。帰ると、私は禁酒を命じられた。母の目を盗んでこっそり冷蔵庫を覗いてみると、酒は撤去されていた。これを自縄自縛というのだろうか。それとも、当たり前の処置、と言ったほうが正確だろうか。


 酒がない、逃避するのに最適なものがない、そう考えるだけでイライラした。イライラするので私は本を読むころにした。本に集中している間はイライラが少しは解消されるのが救いではあったが、読み終えるとまたやることがなくなった。そこで、もう夕方になっていたが、散歩に出かけることにした。すると、犬と数回すれ違った。犬にはすべてリードと飼い主がくっつけられていた。私が子供のころは、この辺りにも野良犬が出ていたような気がするのだが、最近は少しもそんなことが起こらない。


 晩餐はいつもより多めに、キノコをいつもより多めに食べた。すると満腹のせいか、いつもより狂ったせいか、私は眠ってしまった。夢は見なかった。次に起きてもまた病院にいるんじゃないか。そんな気がした。

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