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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年10月13日

※この日記はフィクションであり、作者とは何の関係もありません。

10月13日(木)

 もう週の後半である。そんな今日はふれあいサロンの日だった。いつものように母に車で連れられてたどり着くと、そこにはいつもより若い人間が多かった、ような気がした。自分以外の狂人たちの会話から推測するに、どうも今週から新しく10代の狂人が5人も通い始めることになったらしい。若者たちの間で狂うことが流行っているのだろうか。私は数年間働いていただけの、社会的には若造ではあるが、今日から来ていた若者たちに比べれば歳をとっている。私はどう見られているのだろうか、と少しだけ気になった。しかしその私を見る目たちも狂いのフィルターを通していることにすぐに気づけたので、気にしなくなった。


 ふれあいサロンでは、一人の男が大きな模造紙に大きな絵をサインペンで書いていた。まるで漫画のような、輪郭のしっかりした人物画で、それも美少女だった。どんな美少女だったかと言えば、最近本屋へ行けば平積みされている漫画本の表紙に書かれているような美少女だった。他の男が、その男に、「それ、何かのキャラクター?」と尋ねた。ため口で。「榎本なごみといいます」イラストを描いていた男は答えた。敬語で。


 家に帰り、晩餐までの時間を使い、やっと猿の送ってきた小説を読み終えた。まあまあ面白かった、という感想を添えて返信してみた。そのままメーラーを閉じて、まだ開いていないので、猿からの再返信が来ているのかはまだ分からない。本当に小説家の猿先生が書いた小説だったのかもわからない。どうして猿なる者が私のメールアドレスを知っていたのかも分からない。


 晩餐の席で、珍しく母から話を持ちかけられた。「知ってる? 小説家の猿ってペンネームの人はね、動物園に勤務してるんですって」どうしてそんな話をするのか、私は母に訊ね返してみた。「昨日、榎本さんと話したのよ。榎本さん、猿ってペンネームの担当になりたくて、その人のことを調べてるらしいわ。でも、全然分からないらしいの」だからどうしてそんな話を私なんかにするのか、と私は再度母に尋ねた。「だって、家族の中で本読むの、あんたくらいですもの」私は父と妹の趣味を知らない。

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