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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年10月10日

※この作品は作者の日記ではなく、フィクションです。

10月10日(月)

 体育の日だったというのに寝てばかりいた。パソコンから聞こえてくるラジオで「今日は体育の日ですねー」と言っているのを聞いて、今日が体育の日であることに気が付いたくらいだ。今日は何の日、を話のネタにする人物は大抵話すことがない人物なのではないだろうか。それから何度も、横になっている間に、つまり日中の間に、「今日は体育の日ということで」などと言った台詞を耳にした。ラジオのパーソナリティはそんなに話すことがないのだろうか。それとも、こう話し始めるべし、とラジオパーソナリティ入門書にでも書いてあるのだろうか。入門書通りの言動を行うのがプロのラジオパーソナリティと言えるのだろうか。どうでもいい。そんなことよりこのところずっと続いている飲酒癖を止めるべきだ。狂うより先に飲みすぎで死ぬから。


 ネットで見かけたニュースの中に、サルが動物園に戻った、というものはなかった。しかし動物園のホームページを調べてみると、サルが動物園に戻ったことが明らかになった。ニュースサイトは事件の解決にはあまり興味がないようだ。


 そんなサルから、電話がかかってきた。「やあ、こんにちは」と、一階の固定電話の電話口から聞こえてきたその声はサルのものだった。一体何の用でかけてきたのか。飼育係は何をしているのか。「実は私、小説を書いてみたんですよ」それで、私にどうしろというのだ。「ちょっと読んでほしいんで、メールで送りますね」私は、猿、というペンネームで活動しているらしい小説家が居ることをサルに伝えた。「ほう、それってもしかして私のことだったりするんでしょうかね。私、これまでもこっそり、飼育員の目を盗むように小説を書いてみたことがあるんですよ。そして書き上げると、その原稿用紙がどこかへ消えているんです。もしかしたら飼育員が勝手に回収して編集者に売り込んでいるのかもしれませんね」私がいまサルと話しているというこの事実は、きっと狂いが見せた厳格に違いない。キノコが見せた幻聴に違いない。そんな気がした。

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