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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年10月4日

※この日記は作者の現実とは一切の関係がなくフィクションです。すべて想像であり、作者の頭の中の出来事であります。

10月4日(火)

 昨日、榎本なごみが来ていた。その際、キノコ「マザー」について調べてもらうよう頼めばよかったのではないか、と昼前に起きた私はぼんやりとした頭でそう思った。自分で調べることは母に禁じられているなら、他人を使えばいいのではないか。しかし、こんなにも榎本なごみに依存するように頼るのは、いつか榎本なごみが家に来なくなったときにつらくなってしまうから控えるべきではないのか。このうっかり気を抜くと依存してしまう癖は、私が狂っているから出てくるのだろう、いや、何もかも狂っているせいにするのはよくない。このフレーズは昨日の日記に異様なほどの回数登場している。昨日の私には何があったのだろう。


 昨日の私は今日の私より狂っていたような気がする。まず、吐き気がすごかった。ほとんどの思考が吐き気に持って行かれており、まともな想いというものが浮かんでこなかった。そんな気がする。しかし、それは狂っていたと言うのだろうか。単に体調が悪かったせいではないのか。


 吐き気がずっと体を襲っていた原因は明らかである。飲酒が原因である。ここ数日、私は日記には書いていないがほぼ断続的ともいえるタイミングで、家族の目を盗んで冷蔵庫から酒を盗み飲んでいた。酒は恐ろしい。一度飲み始めると抜けてきたころに再び飲みたくなってくるし、寄っている間は驚くほど退屈な時間が早く飛び、つまり便利すぎるのだ。もし飲みすぎると吐き気がするという副作用がなかったら、私は永久に酒を飲み続けて、狂っていること以外の理由で入院していたことだろう。アル中とかで。しかし、狂っている私を母は、いや家族は金のかかる入院などというものをさせてくれるだろうか。いくら福祉で親の財布に金が入っているとはいえ、入院するとその分の金など吹っ飛んでしまう。アル中で入院しても、狂人用の生活補助は適応されないのである。


 今日は今日のことをほとんど書いていない気がする。しかし、こんな日もあるものだ。今日は昼前起きて二度寝し、夕方の前に起きて二度寝し、キノコ入りの晩餐を食べて狂って意識が飛んだ。私は今日は何回寝ているだろう。こんなものは生活とは呼べない。だから今日は私は生活していない。だから今日は日記なんか書くべきではなかったのではないだろうか? 起こったことと言えば、母に「マザー」について自力で調べることを許可してもらおうと晩餐の席で頼み込んでにべもなく却下されたことくらいだ。

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