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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年8月19日

※これは作者の日記ではないことを明言させて頂きます。又、登場人物、又は作者が完全に狂った場合、連載を終了とさせていただきます。ご了承ください。

8月19日(金)

 もうすぐ週末が来る。嫌だ。週末になれば狂っていない人々が外を出歩くだろう。そしてそれらの人々は、狂った私のことを注目するだろう。だから私は外に出られなくなる。家の中に閉じこもって読書とインターネットばかりやっていなければならなくなる。最近は読書をしていてもインターネットをやっていても気分が悪くなる。暗い気持ちになる。これは狂いが進行した証なのだろうか、それとも常人に近づいている証なのか。どちらにしても嫌だ。狂うか鬱になるかの二択。どちらも嫌だ。


 今日読んだ本には。狂った人間が出てきた。しかし最後には大人になって、狂いから脱した。タイトルは「時計仕掛けのオレンジ」といった。若いということは狂っているのだろうか。だとしたら私ももっと歳を取れば、狂った状態から開放されるのだろうか。歳を取っても狂い続けるとしたら、そんなひどい悪夢は無いように思える。そうなるくらいなら、狂いが臨界点に達して何も認識できなくなる時期が早く来てくれたほうがいい。読書をしても心が豊かになった気がしない。これは本が本だからだろうか、それとも私のせいだろうか。近頃、悪いと感じることが全て自分のせいであるような気がする。


 「お話したいことがあります。来週月曜日にバイパス下のドン・キホーテに来てください」昨日削除した匿名のメールの文面がまだ思い出せる。「お断りします」とか返信くらいしておくべきだったかもしれない。もし本当に来週の月曜日にドン・キホーテに行ったりしたら、誰かが待ち構えているのだろうか。それともいたずらだったりするのだろうか。どっちがいいか、と訊かれれば、どっちも気が重い、と私は答える。だからセルシンを一錠余分に飲んだ。特に何も変わらなかった。


 晩餐にキノコ鍋が出てきた。エノキやシイタケやシメジや白菜に混ざっていつものキノコも浮いていた。何の工夫も無い、私にキノコを食べさせるためだけの食事だった。母は勝手に私の取り皿に、いつも私に食べさせている味の無いキノコを入れた。やけになって馬鹿食いした。満腹になって眠くなった。だからさっきまで寝ていた。この怠け者。死ね、私め。


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