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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年9月24日

※この作品は作者の日記ではありません。フィクションです。

9月24日(土)

 家族が動物園へ行った。私は家にいた。特に動物園に行きたかったわけではないし、動物園に行きたいか、と尋ねられたわけでもない。それでも家族が私を置いて動物園に行ったことは分かった。部屋でインターネットをやっていると、階下から家族の会話が聞こえてきたのだ。その話の断片をつないでみると、これから自分たちだけで動物園に行く、上にいる穀潰しには伝えなくてもいいだろう、放っておこう、という内容の会話だった。その間の戸締りをどうするつもりなのかについては、何も聞こえてこなかった。私に家から出ないよう言わなくてよかったのだろうか。とにかく、家族は動物園に行った。私を置いて動物園に、恐らく遊びに行った。遊び以外の目的で動物園に行く理由が分からなかったから、そう思ったのだ。


 これはチャンスだった。私は編集者に破壊されてからずっと部屋に残っていてごみ箱にも入りきらないので捨てられないパソコンの残骸を、家族がいない隙に一階のごみ箱に捨てることにした。少しずつ分解して自分のごみ箱に入れ、下のごみ箱まで持って行ってこれを映す。これを数度繰り返すと、下のごみ箱もいっぱいになり、私のごみ箱にもその余りが出た。自分のごみ箱に残った余りの残骸については、後日どうにかすることにしよう。


 インターネットでもう一度キノコ「マザー」について調べてみることにした。昨日と同じく「キノコ サル マザー」で検索して昨日の晩に見たページを見てみた。そこによると、このキノコを食べて自失した人がいる、このキノコを食べて動物と話せるように錯覚した人がいる、このキノコを食べて以来狂人として暮らしている人がいる、という、死にはしないが恐ろしい毒をもったキノコである、と書いてあった。現在は絶滅している、とも書いてあった。


 じゃあ、このキノコはなんだろう、と晩餐に出されたキノコについて私は思った。晩餐は母が帰り際に買ってきたほっともっとの弁当だった。そのご飯に、無理やり味のないキノコが混ぜ込んであった。このキノコの名前はマザーで本当に合っているのか、と母に確認をとってみた。「マザーで合ってる」と母は答えた。しかしインターネットで調べたらマザーというキノコは絶滅している、と私はどの方向にか分からないがとにかく念を押してみた。すると母は「あんたの分のプロバイダ、解約しておいたほうがいいわね」と言い出した。それは勘弁してください、二度と調べないから、と私は母に頼み込んだ。

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