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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年8月18日

※これは作者の日記ではないことを明言させて頂きます。又、登場人物、又は作者が完全に狂った場合、連載を終了とさせていただきます。ご了承ください。

8月18日(木)

 本を読むときは必ず没頭するようにしている。そうしていないと私はもっと狂うしかやることがなくなってしまう。何でもいいから何もしないよりは何かやれ、とは母親の口癖である。……だった。でも今はあまり言われない。諦められているのか、それとも呆れられているのか。


 今日は保健センターのふれあいサロンへ行く日なので、母に送ってもらって保健センターへ行った。サロンといってもやることといえば私のように狂った人たちが集まって喋ったりボードゲームをやったりするだけの集まりである。私は喋ることもボードゲームも得意ではないのでいつも本を持っていく。そしてずっと本を読む。喋りもせずに、人を見もせずに。きっとこの日記を誰かが見ているとしたらきっと私のことを軽蔑するだろう。狂った私でもそのくらいのことは予想ができるのである。


 サロンから帰ってきてパソコンを開いていたらメールが届いていた。そこには「あなたの書いている日記について、お話したいことがあります。来週月曜日にバイパス下のドン・キホーテに来て下さい」と書かれていた。差出人の名前はどこにも書かれていなかった。怖かったのですぐに削除した。


 今日の晩餐は豚キムチが出た。ご飯と豚キムチ、それだけである。味噌汁などと言うぜいたく品は私の食事には出ない。今日もその中に昨日と同じ形状のキノコが入っていた。もしかしたら私が狂う原因も、夕食後に必ず数時間意識を失ってしまうのも、このキノコが原因かもしれないと思い、今日は思い切って残してみた。するとキノコだけ残った皿を見て母が「食べなさい」と言った。働いていない私には拒否権など無い。そんなネット内の世論のような言い方だった。その通りなので仕方なく食べた。そして今日もまた、さっきまで意識を失ってしまっていた。きっと私はもっと狂うだろう。そして文章を書くために保っているなけなしの正気も失い、この日記は終わるのだ、きっと。

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