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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
39/366

2011年9月22日

※これは作者の日記ではなく、実在の人物・団体・組織名とは何の関係もありません。

9月22日(木)

 今日はふれあいサロンへ連れて行かれた。インターネットブラウザが壊れているため、他人の言葉を聞く数少ない機会となっている。私は、誰とも話さずに本を読んで過ごした。なぜなら、狂った私には他人と話す技術がないからである。しかし、私以外のふれあいサロンへ来ている狂人たちは、ほとんどが他人と会話できている。それがどうしてなのか、私は狂っているので分からない。しかし他人と喋れているふれあいサロンの参加者たちも狂っている。これはどういうことなのか、私は狂っているので。


 帰りの車の中で、パソコンのブラウザが壊れたことを母に伝えてみた。当然のごとく無視された。最近はあまり無視されていないので話が通じるのではないかと期待してみたが、やはり親というものは狂った子供には厳しいものなのだろうか。私は親になったことがないし、きっと今後の人生で親になれる機会も無いだろうから永久にわからない。


 帰ると編集者が待ち構えていて、母と編集者が打ち合わせを始めた。私は二階の自分の部屋でじっとしていた。やがて階下から聞こえてくる言葉が止まり、誰かが階段を上ってくる足音が聞こえてきた。きっと編集者だろう、と諦め半分に予想していると、案の定編集者で、やはりノックもせずに私の部屋のドアを開けた。「パソコン、壊れたんだって」どうして知っているのか尋ねると、母から聞いた、とのことだった。「じゃあいらないね」と編集者はケーブルを引っこ抜いてテーブルから落とした。私の部屋の床には、腕時計を壊された時とは比較にならないほど大量の残骸が散らばった。編集者は片づけもせずに部屋を出て行った。


 晩餐の席で、母に「そろそろ部屋を掃除しなさい」と言われた。私はいつものように食事に混ざっていたキノコを食べた。そして狂った。部屋の掃除どころではなくなった。

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