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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年9月21日

※これは日記という形式を使って書かれていますが、作者の日記ではありません。フィクションであり嘘っぱちです。

9月21日(水)

 朝、急に吐き気に襲われて、ベッドから飛び降りてトイレに飛び込んで大量の昨日から残っていた酒と胃液を吐いた。どうせなら夜に食べたキノコも吐いてしまいたかったが、ほとんど消化されてしまった白いなんだかよくわからない物体しか出てこず、キノコを吐いたという実感はなかった。現に私は今、狂っている。


 昼間、病院へ行った。狂っているのを治療するため、という名目で通ってはいるが、一向に狂いが治る気配はない。今日の診察でも狂いが治る兆候は見られない、とのことだった。先生に、ブラウザが壊れてインターネットができないことを話した。他に話すべきこともなかったからだ。「じゃあ、読書でもしてたらどうだ?」と言われた。言われなくてもそうするしかなかった。「それが嫌だったら、何かお金のかからない趣味でも見つけるとか」それはインターネットで検索しなければ探し出せそうになかった。私には自由に使えるお金がない。大抵の趣味にはお金がかかる。そしてお金のかからない趣味とは何か。インターネットで探さない限り、そんなものは永久に見つからないような気がする。


 帰り際、受付で紙をもらった。いつももらっているはずなのに、その紙の名前が思い出せなかった。狂いが進行しているからかもしれない、と思った。紙には「処方箋」と書かれていて、それを見てやっと紙の名前が思い出せた。この物忘れは何なんだろう。人間としての退化か。狂っているせいで変な生活を続けているため、人間として退化しているのか。


 晩に、キノコの「マザー」が入ったスープが出された。私はそれを黙って食べた。食べ終えてから、トイレに入って、顔をトイレの穴に向けてみた。吐けそうな兆候は見られなかった。兆候、と書きたかっただけだ。

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