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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
364/366

2012年8月12日

※この作品は作者の日記ではありません。

8月12日(日)

「お金がないのかね」猿ってこんな口調だったっけ。とにかくその通りだったので、私はその通りであると肯定した。「お金がなきゃ生きていけないなんて、まだ現実を生きてる証拠だぞ」なぜかそうなのである。私は現実を生きている。と私は答えた。「私もフィクションを生きているのに、か。」猿はフィクション化された世界を生きているらしい。しかしこうして話もしているのに、フィクション化された世界と現実の世界のそれぞれ別世界を生きているというこのになるのだろうか。普通、世界が違えば対面して会話することなど不可能なはずである。


「フィクションと現実の世界は、ほぼ重なっているからだよ」つまりフィクション化されても肉体は現実に残って、活動を続けている。そういうことなのか。「よく分かったね」わかっても何の得にもならない。とにかく猿との会話はそれきりで打ち切って、私は役所は向かうことにした。


 役所ではフィクション化されたと思わしき職員たちがへらへらと私語を楽しんでいた。そんな中で生活保護を申請するのは苦痛だった。私は職員のひとりを呼んだ。誰でもいいから窓口に出て応対してくれ、と叫んだ。途端、役所全体から音が消えたかのように静かになった。そして私を見ては「現実だ」「現実の人だ」「現実が攻めてきたんだ」と噂を始めた。

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