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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
361/366

2012年8月9日

※この作品は作者の日記ではありません。

8月9日(木)

 小説を書く事にした。病院にヴァンパイアハンターが現れたところから。ハンターと鬼灯の一部始終をベッドで聞いていた吸血鬼の少年清人は、翌日の退院の日に決意する。次に死神の少女希穂か幽霊の少女鬼灯が死ぬよう迫ってきたら受け入れよう、と。第一、自分は生きすぎたのだ。生きるために殺しすぎたのだ。そろそろ死んで償いをするべきではないだろうか。吸血鬼はそう思う。だいたい自分は生きているだけで他者の命を削らなければならない厄介な存在なのだ。清人はらしくもなくそんなことを考えるようになっていた。そして退院して最初の登校日。清人は希穂と顔を合わせる。希穂はにこりと微笑んで、清人に放課後、誰もいない教室に来るよう言う。清人は心の準備をして、「いいぜ」と言う。というところまで書いた。ここで完結、ということにしていいんじゃないか。と思った。このまま含みを持たせたまま終わらせたほうが面白いし、消化不良で必要十分な駄作、と判定されるのではないだろうか。


 台風は過ぎ去った。しかし次の台風が明後日かそこらに控えていた。そんな只中、妹が退院した。大病院から歩いて帰ってきたのである。昨日は台風のため帰れなかったのだそうだ。妹は冷蔵庫から日本酒を取り出した。「祝杯」妹はそれだけ言うと一人で飲み始めた。私も飲みたかったが我慢した。なんとなく、酒浸りになると家庭がやばいような気がしたからだ。私はフィクション化されていないのだから、家計という現実と関係があるはずである。


 母はそんな妹と一緒になって酒を飲んだ。やけくそ、という言葉が頭をよぎったが、母は単に頭がフィクション化されてどうにかなっているだけのはずである。そういえば診察結果はいつ出るのだろう。病院に電話してみた。「明日来ます?」もう出ているらしかった。「ついでにあなたの診察も済ませちゃいましょうか」私の病状は、ついで、で済む程度のものであるらしい。

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