2012年8月8日
※この作品は作者の日記ではありません。
8月8日(水)
少し気取った中学生などは「雨の音を聞いていると落ち着く」などというらしいが、え? 中学生に限らない? まあそんな気取った奴らいるというのであれば一度九州南部に来てみるといい。嫌というほど雨の音を聞くことができる。台風が来ているのだ。マンションの壁が激しい風に乗せられた雨で震えて落ち着くどころではない。
電話がかかってきた。女性編集者からである。「まだまだ余裕あるけど、いちおう進捗状況を聞いておこうと思ってね。小説はどこまで進んでる?」この電話を聞いて、私は自分が小説を書かなければならないことを思い出した。一応進んではいる。しかしここ数日書けてはいない。もうすぐ完結する、とだけ私は伝えた。「じゃあ、出来上がったら電話して。電話番号は」と番号を教えられた。とても小説を書かなければならない、そんな気分になった。
書けなかった。なぜなら既に午後になっていた方からである。私の気分は午後になると弛緩する。つまりとても物事に集中することが不可能になってしまうのである。もちろんこれは言い訳に過ぎず、本気を出して集中すれば書けるはず、問うことくらいわかっているのだが、リビングから聞こえてくるゲームの音がそうさせてくれないのである。母は今日もゲームに熱中している。