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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年9月19日

※これは作者の日記ではなく架空のものであり、実在の人物・団体・組織名とは何の関わりも持っていません。

9月19日(月)

 昼間、いつものように何もやることがないので本を読んでいるとベランダにサルが現れた。私は猿の見分けがつくわけではないが、今日現れたサルは、なぜか頭が良さそうに見えた。この間サルと話したからそういう感覚に目覚めたのかもしれない。そこで私は、サルに話かけてみた。お前は本を読むか、と。「お前、とはご挨拶ですね」とサルは言った。そこで今度は丁寧語に直して、同じことを問いかけた。「読みますよ。私は本を読むサルなのです」サルは今度は答えてくれた。


 動物園に戻らないのか、と私はサルに尋ねてみた。もちろん、応対してほしいので丁寧語で。「私が動物園から逃げ出したサルだと思っているのですか」私は8月に見た動物園から逃げ出したサルの映像を鮮明に覚えているわけではない。しかし、目の前にいるサルは、動物園から逃げ出したサルなのではないか、と感覚的に、そう思ったのだ。日本で野生のサルなんかそう生息していないだろうし、日本で会える野生のサルは大体が動物園から逃げ出して野生化したサルだろう。そうも思った。「もう少ししたら、動物園に戻ってやろうと考えていますよ」とサルは言った。そして何も言わずに、ベランダから出て行った。話相手のいなくなった私は、読書に戻った。


 晩、いつものようにキノコが出た。この味のない赤くて白い斑点のあるキノコは一体何という種類のキノコなのか、と母に尋ねてみると、「マザーよ」と何の困難もなく答えてくれた。マザー。母。今日はなした相手はサルと母。昨日話した相手は、編集者と……いや編集者は私のことを無視し続けたから、母のみ。私の生活には母親というものが密接に関わっているような気がする。それから、これからマザーという種類のキノコについて検索してみようと思う。

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