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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
357/366

2012年8月5日

※この作品は作者の日記ではありません。

8月5日(日)

 山の中腹の開けた場所で、私はペットボトルロケットを飛ばそうとしていた。このロケットは誰が作ったのか、そんな描写はなかったが、おそらく私が作ったのだろう。そしてペットボトルロケットは飛ぶ。山の斜面めがけて。ペットボトルロケットは山の麓めがけて落ちていき、ついに見えなくなってしまう。ささやかな達成感を味わう私に、汗だくになっていた私を見ていた見知らぬ少女が一言、「それ楽しい?」そんな夢を見た。ペットボトルロケットはなんの暗示なのだろうか。フロイトだったらやっぱり性欲が溜まっているとかそんな判断を下すのだろうか。


 図書館へ本を返しに行くと、網を貼っていたかのように榎本なごみは私を待ち構えていた。本を読んでいたが読んでいなかったかのような素早さで私に気づき、手招きした。私は逃げようがないと判断して榎本なごみの正面の席に腰掛けた。「お母さんの様子、どう?」榎本なごみが尋ねる。母はつい先日家計に余裕がないと言っていたくせに今日はPS3をいきなり買ってきて超次元ゲイムネプテューヌを延々とプレイしている。「元気なんだね」あれは躁の典型的な症状である。自分に金があると勘違いしてしまっているのだ。「お母さんのこと、心配?」母も不安だし家計も不安である。「家計は大丈夫なんじゃないかな。フィクションの世界では滅多に破産なんてするもんじゃないし。それがテーマにでもなってない限り」しかし、この世界のどこがフィクション化しているというのだ。「こんなに様変わりしているのに?」


 私は周囲を、図書館の中を見渡してみた。そこには本棚。本を読む人々。机にかじりつくように問題集とノートを開いている学生らしき人々。受付の人間。無料の勢いが弱い給水器。そういった現実的なものばかりが並んでいた。これらを見た結果、ここがフィクション化された場所だな、と判断することは難しい。「もしかして、私と見えているものが違ったりする?」じゃあ榎本なごみには何が見えているのだ。と尋ねてみると、榎本なごみはとても現実的とは言えないものをあちこち指差しながら言い始めた。

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