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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
356/366

2012年8月4日

※この作品は作者の日記ではありません。

8月4日(土)

 どうせ食べるなら鯛がいい、どうせ狂うなら狂想曲でも奏でていたほうがいい。しかし私は狂想曲というものについてよく知らない。どう狂っているのか、それとも狂っていたら演奏できない代物なのか。オーケストラで演奏する曲だとしたらお終いだ、私はあれで使っているような楽器を何一つ操れない。当然ギターも弾けない。


 榎本なごみがマンションに訪ねてきた。こちらが玄関を開けるなり開口一番、「妹さんが入院したんだって?」である。さすが田舎の宮崎なだけあって、噂はどこかから流れてしまったらしい。「お見舞いに行こうよ」私は妹はきっと私が見舞いに来ることを嫌がるだろう、と自分なりに力説した。「うん、行こうよ」榎本なごみは私の力説をなかったことのようにして手を引いて大病院へ向かっていった。


 大病院は心療内科がある病院と違って産婦人科もあるし入院もできる。心療内科がある病院にはベッドが一基もないのだ。妹は私が来たのを見ると「ああ、来たんだ」と言った。嫌がっているのかは一見するところ判断できなかった。しかしきっと嫌がっているに違いない。榎本なごみは妹としばらく話をした挙句、「じゃああとはご家族だけで団欒を」とか急に丁寧語を使って一人で立ち去って行ってしまった。気まずい沈黙が流れる。「連れて来られなきゃ、来なかったでしょ」妹が言った。「まあ、どっちでもよかったんだけど」積極的に嫌がっていなかったとは意外である。ところで最近の狂躁的な母についてどう思う。「いいんじゃない? 明るくなって」あれは躁状態であり危険だ、と私は思う。

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