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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
355/366

2012年8月3日

※この作品は作者の日記ではありません。

8月3日(金)

 私の朝食及び昼食は、医師が精神的効能があると頑なに主張し続けている錠剤である。この錠剤は毎食後に読むように、との注意書きが書かれている。ちゃんと飲まないの胃が悪くなるらしい。しかし朝食と昼食を私は未だにとっていない。母が狂ってしまったのだから勝手に冷蔵庫をあさって食料を調理して食べればいい、と考える向きもあるかもしれないが、私は現在の食生活に完全に慣れてしまっているのでそれもできない。朝や昼に空腹になることがない。この慣れは悪いものなのだろうか。


「あなたのお母さんは、狂っているだけです」百合心音は言った。そうだろうか。あんなわざとらしい奇行、狂っているのではなくただ構って欲しくてやっているようにも見えるのだが。「お母さんを連れて、病院まで行きなさい。狂っているという診断を下されるでしょうから」半信半疑のまま、私と百合心音の電話での会話は終わった。


 ここまでが昨日の話で、ここからは今日の出来事である。私は病院まで歩いた。一人ではなく、母の手を引いて、である。母の財布を探すのに苦労した。なにせ今の母は財布を持とうという意識すら薄らいでいる。だから私が探して持たせた。財布には数万円が入っていた。あと保険証も。多分初診分は払えるだろうと見積もって、私は病院へ向かった。そして母を診察して欲しい旨を融通の利かない受付の人物に伝え、待つこと2時間。母の診察が始まった。「じゃあ、簡単なテストを行いますので、こちらへ」と、母は別室に連れて行かれた。私も狂い始めに受けた、狂っているのか正常なのか判定するためのテストである。変なパズルを使ったり、「あなたはこんなときどうしますか」みたいな質問をされたりする。1時間後テストは終わった。「じゃあ、診断結果は来週にでも出しますので」そうだった。病院は全ての行動が遅いのを忘れていた。果たして母は狂っていると診断されるのだろうか。あと妹が入院しているがこんな状態の母は見舞いに行きたがるだろうか。ちなみに妹は私が見舞いに来ることを嫌がっている。そうに決まっている。

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