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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
352/366

2012年7月31日

※この作品は作者の日記ではありません。

7月31日(火)

 フィクション化されたこの世界でもテレビではオリンピックが放送されていて、見知らぬキャスターがメダルをとった選手に馴れ馴れしくインタビューしていた。さてこの光景は現実だろうかフィクションだろうか、と判断しようとしたが、無駄なことに気がついた。テレビの中の出来事などフィクションに決まっている。きっとオリンピックだってこことは別の世界でおこなわれているに違いないのだ。日本人がメダルを取ったからといって私がどうにかなるものではない。


 勤務場所は先週と同じように開いていた。そして勤務も先週と同じように行われていた。まだ世界のフィクション化は完了していない、ということなのか。「日本は大体終わったけど、世界はまだまだね」百合心音は言った。世界ということは、日本だけじゃなく世界中をフィクション化して現実と剥離させるつもりであるらしい。そんなに広範囲をフィクション化しようとしているのだったら、私が死んでもきっと完了しないんじゃないのか。百合心音が死んでもきっと完了しないんじゃないのか。もちろんこんなことは言わないでおいた。上司の期限を損ねるようなことは口にしない。私もずいぶん社会的人間になったものである。


 マンションに帰ると救急車が止まっていた。母が外に出てきていて、救急車の近くに立って白衣を着た病院の職員と思われる人物と話をしていた。何の話か、と思っていたら、妹が救急車に運び込まれたのだそうだった。妹は今日は家に閉じこもっていたが、急に下腹部の痛みを訴え始めたので母が救急車を呼んだらしい。車の中を覗き込んでみると、妹が横になって点滴を売っていた。とてもリアルな光景だった。

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