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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
35/366

2011年9月18日

※この作品は作者の日記ではなく、実在の人物・団体・組織名とは一切の関係がありませんよ。

9月18日(日)

 キノコを食べたくない由を母に伝えてみたところ、「馬鹿じゃないの?」と一蹴されてしまった。なぜ私は母によって狂わされ続けるのか、なぜ私は来るっていなければならないのか、それらを尋ねてみてもきっと答えてはもらえないだろう。母は私に冷たい。世界が私を貶めようとしている。


 昼ごろ、母は私に「部屋を出るように」と言ってきた。何があるのかと思いきや、なんと母と編集者の会食に出席させられた。こういうことは二人きりで行うべきではないのか。それと私は編集者と顔を合わせたくない。母と編集者と私は、ファミリーレストランで昼食を摂った。母と編集者は仕事の話を交えながら和やかに話し、編集者は私がいないように振舞った。安心はしたが、母も同様だった。母も私がいないように振舞ったのだ。私はどうしてこの場に呼ばれたのか、何度も尋ねた。しかし二人は私を無視し続けた。これは何の罰なのだろう。


 たった一行動だけ、会食中に母が私に干渉して来た。それは、ジップロックに入れられた刻んだキノコを、私が注文したオムライスに載せる、というものだった。食べろ、ということなのだろうか。そう尋ねてみても母も編集者も私のことを無視した。なので私はキノコごとオムライスを食べた。それから狂ったので、会食がどう終わって私と母はいつ家に戻ってきたのか、わからない。


 晩餐は饗されなかった。なので夜は、本を読んでいた。図書館で借りた本の中に、「頭狂」というタイトルの本があったのだ。作者はバナナ・バナナという、国籍不明の覆面作家だった。いや、これは小説である、とも本には書かれていなかった。もしかしたらノンフィクションかもしれない。ちなみに訳者は母だった。

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