2012年7月24日
※この作品は作者の日記ではありません。
7月24日(火)
舞台は海。胸のあたりに影らしきものが見当たらない水着の女性の周囲をカメラはぐるぐる女性に定点しながら旋回していて……などと、また夢の話か、と書いている今現在でも思っている。しかし夢を毎日見るのだ、それも明確な明晰夢を。その明晰の仕方も、これは明晰夢であり、私はこの夢の鑑賞している、といった明晰方法なのである。このまま浅い眠りばかり続いたら、私は本当にどうなってしまうのだろう。
小説を書きたかったが今日は勤務日なのでそれは叶わなかった。その代わり勤務場所に行くと私は即座に百合心音に呼び出され、職場内のパーテーションで区切られた一角で向かい合って座った。「最近、現実感を失ったりすることって、ない?」現実感ならずっと感じていない。狂い始めてから現実感の薄い出来事ばかり起こっている。全体的に見れば現実的な出来事もいくつか起こっているのだろうが、現実的ではない出来事の方が記憶に残っている。「そうか……」百合心音はしばらく一人でごにょごにょと呟くと、「あなた、変える必要があるんじゃないかしら」どこに、だろうか? 「あなた自身が生まれた、現実の世界に」このフィクション化されようとしている世界は現実じゃないとでも言うのだろうか。
もしそうだとしたらフィクションをフィクション化することになり、それって矛盾なんじゃないだろうか、とも思ったが、百合心音はそれだけ忠告すると「じゃあ勤務に戻って」と言うので私は勤務に戻った。余計なことに時間を取られたおかげで勤務終了までに一区切り付けることができず、勤務時間を少し超過して勤務する羽目に陥ってしまった。しかも勤務終了時間にしっかりとタイムカードは押された状態で、である。軽いブラック、グレーである。