2012年7月22日
※この作品は作者の日記ではありません。
7月22日(日)
妹が私の隣、私と同じ布団に入って忍び笑いをもらしている。どこからか深夜ラジオの声が聞こえてきていて、それを聞いて妹は笑っている。私はと言えば眠い目をこすりながらテレビブロスを開いて横になったまま読んでいて、妹はそれも傍から覗き込んで忍び笑いをもらしている。妹の笑い声は耐えることがない。という夢を見た。起きると隣の部屋から深夜ラジオの声が漏れ聞こえていた。妹の笑い声なんてここ数年来聞いていない。
そもそも妹は現在のところ反抗期に突入しており、母や私や父のことを嫌っている。そして反抗的に外泊を行うことも多々ある。処女は失っているのか、と少々不安に思うことがあるが、そんな不安を抱かれることを彼女は一番嫌っているだろう。自分が処女じゃなかったらお前どうするつもりなんだよ、と逆に問いかけてきそうなほど妹の目つきはギラギラと輝いている。世の中に反抗しているが私より生き生きと生きているのだ。
星海社が偶然社と名前を変更したことはショックでも何でもなかった、と思っていたのだが、昨日飲んだ酒はまだ残っていた。ひどい二日酔いだった。久しぶりに日本酒をストレートで一気飲みしたのが災いしたのだろうか。体からアルコールを発散するために私は返却本を持って図書館まで歩いた。図書館では榎本なごみと出会った。ずっと詰めているのだろうか、このごろよくよく図書館で出会う気がする。「本来なら、終業式があって夏休みなんだけどね。学校がフィクション化しちゃったから、なし崩し的に休みが続いてる、って感じ。誰も私の学校の終業式を描写しなかったのかな」誰かが書かない限りフィクション化された世界ではそれが実行されない、ということなのだろうか。だとしたら世界中をフィクションに変えることなど不可能である。現実が必要不可欠なフィクション化なんて。「それと蔵書があからさまに増えてるの、気づいてる?」そういえば、本棚には隙間なく本が並べられていた。宮崎では公共事業に使われる金も少ないので、図書館の蔵書も大したことなかったのに。「フィクション化されたから、金銭感覚も狂ったんだよ」と榎本なごみは言うが、これは私のいつもの幻覚である、と私は判断する。