2011年9月17日
※この作品は作者の日記ではありません。実在の人物・団体・組織名とは一切の関係がありません。
9月17日(土)
今日は週末であり狂っていない人間が大挙して外に出歩いているので外へ出たくなどなかったが、借りていた図書の返却期限が来ていたので、図書館に出かけないわけにはいかなかった。外に出ることも自転車に乗ることも好きではないが、図書館は嫌いではない、人がうるさくないからだ。と思っていたのに、図書館へ到着すると、一人の狂人が暴れていた。図書の返却期限が過ぎていることを注意されたのがきっかけで、図書館員に文句をつけ始め、それがエスカレートしたらしい。私はそそくさと図書を返却して図書館を出た。そして狂人がいなくなるまで家で待機しようと思い、一旦家に帰ることにした。
家に帰ると電話がかかってきた。今日も母は電話に応対しなかった。なので私が出てみると、やはり榎本なごみからだった。母は榎本なごみからかかってくる電話を察知することができる特殊能力でも有しているのだろうか。などと考えながら、榎本なごみと少し話した。その際、頭狂というものについて知っているか、と尋ねてみた。二日前に編集者から言われた言葉だ。「すいません、知りませんねえ」と返された。謝られたのなんて何年ぶりだろう。
図書館へ戻ると狂人の姿は消えていた。まるで最初から狂人など来ていなかったかのような雰囲気だった。それが不気味でなんとなく気持ち悪かったが、本を何冊か選んで借りた。私は図書館員に文句をつけたりしなかった。そうする理由がないからだ。しかし、私は狂っているから、図書館員になんらかの因縁でもつけるべきではないだろうか、と変な義務感に少しだけ駆られた。しかし図書館を出入り禁止にされたら本を調達する手段が無くなってしまうので、そうはしなかった。もしかしたら私はもう狂っていないのかもしれない。
そして晩、食事に混ざっていたキノコを食べると、私はあっけなく狂った。そういえば私以外の家族に饗される食事にはキノコは入っているだろうか。母に尋ねてみた。「入れるわけないじゃない、狂うわよ」どうやら母は私だけを狂わせたいらしかった。その真意は分からない。なぜならキノコを食べて狂ったからだ。