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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
339/366

2012年7月18日

※この作品は作者の日記ではありません。

7月18日(水)

 またテレビを見ている夢を見た。現実をまともに見据えて生きていない証拠なのだろうか。それとも私は芸能人に会いたいと心の底ではおもっているのだろうか。宮崎ではテレビくらいしか健全と呼べる娯楽はない、と言いたいところだがそのテレビもCMはほとんどパチンコ屋のそれである。地方都市らしいと言えばらしいが、いや、宮崎に都市部らしい場所がある、ということを認めること自体がほかの地方都市に対して失礼に当たるのではないだろうか。宮崎に都市はない。全面的に田舎である。これが正しい。


「あなたの病気は治らないんじゃないかな」酒を飲みたい衝動を抑えるために外を歩いているとばったり出会った榎本なごみに、突然そんなことがあった。どうしていきなりそんなことを?「今日ね、学校がフィクション化したのよ」小火が起こった、みたいな調子で榎本なごみは言った。「それで、授業の中身がなくなったんだけどね。みんなフィクションと戯れてて、まるで授業にならなくて、それでも誰も注意なんかしなくて。私も、もちろんできなかったんだけどさ。やっぱりフィクションの世界じゃ授業の内容を実際に使う機会ってほとんどないからそうなるのかなあ、って思って。SFの世界で使われる科学用語だって、ほとんど大学の授業で出てくるような言葉ばっかりじゃない」不安でも抱いているのだろうか、まるで何かを埋め合わせるように榎本なごみは饒舌に喋った。私はかなりの間、炎天下で榎本なごみの話を聞いていた。榎本なごみのことは大切にしたいので、彼女の話を途中で打ち切ることなどできなかったのだ。


 家に帰ってネットを見てみると、そこには現実らしいニュースが表示されていた。埼玉県で放火があったらしい。本州はフィクション化されている筈なのに。いや、フィクション化されているからといって何も事件が起こらないわけではない。きっとこの事件はどこぞの名探偵が解決するのだろう、探偵小説というフィクションのように。

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