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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
326/366

2012年7月5日

※この作品は作者の日記ではありません。

7月5日(木)

 何気なくネットを探っているうちに、チェッカーという遊びが存在することを知った。チェス盤の黒い部分のみを使って遊ぶゲームであり、2007年には既にお互いが最善手を指し合うことで必ず引き分けになってしまうことが証明されてしまっており、つまり終わってしまったたゲームである。しかしチェッカー協会なるものは未だに存在しているし、チェッカーを遊ばない人間がいなくなるまでにはまだ時間がかかるだろう。物事の終わりはあまり唐突にはやってこないものだ。それが小説か人生でもない限り。


 希穂と清人をどうにかすべく榎本なごみを探しに行こうと出て行く前に、小説の手直しをした。季節が夏であるかのような描写を書き足したのである。随所で「日差しが厳しい」とか「汗が滲み出た」とかいった言い回しを書き加えた。ある程度書き足したところで昼になったので、私は榎本なごみを探しに出かけた。そして気がついた。まだ正午を少し回ったくらいではないか、榎本なごみの現在の設定であればまだ学校にいるのではないか。じゃあ探してもどうにもならないのではないか。


 そう思いながらも一応榎本なごみが通っているであろう学校へ向かってみた。家から一番近いところにある宮崎第一高等学校である。田舎を基準とした「所詮」レベルの中でも低い方に位置する高校である、つまり学力も低ければモラルが低い。校門にガードマンの一人もいやしない。私は簡単に入ることができた。学校は荒れ切っているのかそれとも今は昼休みなのか、大量の生徒の話し声が聞こえてきた。この中から榎本なごみを探すのか。そう考えると面倒になってきたので、私は校門で待つことにした。榎本なごみが通っているのがこの学校で間違いないのであれば、やがて夕刻になれば下校するために校門をくぐるはずである。私はその付近で待っていればいいのだ。という訳で私は待つことにした。傍目から見れば不審者だが、宮崎第一高校の前は交通量が少なく、傍目が私を見つめる回数はとても少なかった。下校のチャイムと思われる音が校内から響き渡ってくるまでに一度しか人が通りかからなかったのである。そして生徒が続々と吐き出されてきた。私は榎本なごみの姿を探した。

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