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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年9月14日

※この日記は作者の日記ではなく、実在の人物・団体・社会とはまったく関係ありません。

9月14日(水)

 昼、今日も榎本なごみが来た。昨日まで家族が消えていたことを話すと、「薬を飲み忘れたんじゃありませんか?」と言われた。しかし、私の認識している限りに於いて、病院で処方されているセルシンとドグマチールに幻覚を抑える作用は無い筈だ。家族が消えていた現象は、幻覚などでない。これは確信を持って言えるが、家族は自発的に姿を消していたのである。断じて、私が認識できなかったわけではない。と話すと、榎本なごみは首をかしげ、昼食の調理に戻った。今日も榎本なごみは昼食を作りに家に来ていたのである。そして私たちが昼食を食べ終えるまでの間、母は一度も部屋から出てくることは無かった。トイレに立つこともしなかったのである。母は榎本なごみを嫌っているのだろうか。それとも、何か理由があるのだろうか。


 大体、榎本なごみはいったい何者なのか。先々週あたりから、ドンキホーテで私を付け回して以来私に構うようになっているが、私は榎本なごみのことをほとんど知らない。とりあえず何かしら知っていたほうがいいだろう、と思ったので、まずは年齢を聞いてみた。すると榎本なごみは指を口に当て、「ひみつです」と言った。きっと言えないような年齢だから言わないのだろう、と私は判断した。自信を持って言える年齢であれば、それをそのまま口にする筈だ。


 今日も晩餐は取れなかった。榎本なごみの作った昼食が夜まで腹に残り続けたせいである。昨日に続いて今日もキノコを摂取しなかったことになる。このままだと、私の狂いも解消されたりするのだろうか。そんなことはない、そんな気がした。なぜなら、さっきまで私は狂っていたからだ。……さっきまで。朝の時点では、私は狂っていなかった。夕方からついさっきの深夜にかけてまで、私は狂っていた。私の狂いには時間が関係しているのかもしれない。

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