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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
308/366

2012年6月17日

※この作品は作者の日記ではありません。

6月17日(日)

 悪夢から目を覚ますと、胸のすくような復讐がしたい、と考えるようになっていた。夢の中に出てきたやたらとリアルな復讐対象は、私がどんな目に遭わせようとしても、のらりくらりと避けていき、ちっとも手応えがない。この絶望感たるや、かなりのものである。これをリアルに文章にできたらかなりいい感じの暗黒文学作品になるのではないか、そんな予感すらしたが、なぜ復讐対象の顔がスネ夫になっていたのか、謎である。これじゃあ緊張感というやつが感じられない。


 それはそうとして、私は死神の名前の候補をいくつか考えて出かけていった。そして待ち合わせ場所の家の近所の1000円カットの店の駐車場へ向かうと、そこでは死神の少女が待っていた。私は死神の少女に、名前はカタカナがいいか、それとも漢字がいいかと尋ねた。アルファベットにすることは、私の学力的に不可能だった。「漢字がいいですね。カタカナだとなんだか軽い印象を与えてしまいそうで」そこで私は死神の少女の名前の候補として、希穂、志穂、夢穂の三つを提示してみた。気に入るものがあればいいのだが。「希穂がいいです。希望が穂ると書いて希穂、いいですね。死神にはある意味お似合いです」気に入ってもらえて助かった。それから私と希穂と決まった死神の少女は、すぐ近くにあったバス停でバスを待った。昨日約束していた通りに。


 バスの運賃は希穂が出してくれた。私には金がなかったが、希穂には架空の存在なだけあって無尽蔵に金があったのである。バス停を降りるとそこは宮崎第一高校前だった。「ここで待ってもらっています」と少女は私の手を取って校内に入っていった。この学校の肛門には警備員などいなかったので、部外者の私でも入り放題だった。私は家庭科室に連れて行かれた。すると昨日希穂が言っていた通り、そこには少年がいた。吸血鬼なのだろう、説明が確かなのであれば。「その通りだ」と少年は言った。「さあ、俺にも名前をくれ」と少年は続けた。この調子が続くと今度は鬼灯を名乗る幽霊でも出てくるんじゃないか、と私は思った。

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