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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
305/366

2012年6月14日

※この作品は作者の日記ではありません。

6月14日(木)

 昨日の病院でごたった5分間の診察の中のひとコマ。私は医師に相談した、どうも気持ちが悪くなるばかりなので酒をやめようと思うのですが、アルコールを一定時間入れないでいると気分が落ち着かなくなるのです。「あなたはアルコール依存です」私は狂っている上にアルコール依存症まで併発しているらしい。私という奴はどこまで面倒くさい奴なのだろうか。これ以上の何らかの異常の発症は許されないだろう。だから私はとりあえず念入りに歯を磨いた。食事の機会は常人の三分の一なのだが、それでも一応、念のため。歯磨きは重要なのである。虫歯は地獄の苦しみなのである。


 榎本なごみの親戚には本州や四国、北海道に住んでいる方がいらっしゃったりしないだろうか、などと考えながら飲んだばかりの日本酒を消化すべく外を歩いているとまるでそれが必然であるかのようなタイミングで榎本なごみとばったり出会った。丁度いいので思っていたことを尋ねてみた。「本州に親戚? うーん、北海道にならいるけど……」それでもいい。コンタクトをとることは可能なのか。「そりゃ、一応携帯に番号は入ってるけど」と言って榎本なごみは二つ折りの携帯を取り出した。「あれ、え?」そして画面を覗き込んで怪訝な表情になった。「これ、どうすればいいの?」と、その画面を私に向けてきた。画面には榎本なごみの親戚らしい人物の名前と、番号が表示されていた。ただ、番号の中にパンダの顔のマークが混じっていたのが気になった。そこは、パンダのボタンを押せばいいのではないだろうか。「私の携帯にパンダのボタンなんかないんだけど」私もパンダのボタンが標準装備されている携帯など知らない。スマホなら存在するのかもしれない。「それはスマホを過信し過ぎなんじゃないかな」冗談である。


 あと、妹が退院してきた。私が榎本なごみとの会話を終えて家に帰ると妹が私を待ち構えていた。妹は自分の部屋に置かれていた漫画の位置が微妙にずれていることに敏感に気がつき、勝手に部屋に入った罰として私に制裁を与えた。おかげで私はまだ胃に残っていた日本酒を吐き出してしまい、マンションの床を酒臭くしてしまった。私はいそいでティッシュでもってそれを拭き取った。跪いてティッシュを動かす私の頭を、妹は踏んだ。なかなかのものである。妹の将来の旦那はきっと愚痴のネタに困らないだろう。

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