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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
288/366

2012年5月28日

※この作品は作者の日記ではありません。

5月28日(月)

 今日のように何も無い日に、家にいて、読書をしていないときはずっとネットに耽溺している。まるで「もっと情報を!」と情報に飢えた人間のような行動だ、と客観的に見ればそう見られるかもしれないが、実際のところニコニコ動画でどうでもいい長時間の動画を見て時間を浪費しているので、これでは人生の無駄遣いである。人生の無駄遣いは贅沢な生の使い方と呼べるかもしれないが、狂った上に仕事もしていない私が人生を浪費したところで白い目で見られるだけである。だから私は少しでも有意義に生きている時間を使うべく、外へ向かうことにした。外に出なければ白い目で見られることもないというのに。


 なんとなく昨日も向かった私有林の中の道へ向かってみたが、そこからアスファルトが塗られていない獣道に入り込むところまではいかなかった。一体何が目的でそこへ向かったのか? 深夜にこれを書いている私の予想するところによると、恐らく狼に会いたかったのではないか、と考えられる。会って何をやりたかったのか、それとも小説を書く事を急かされたかったのか、自分でもわからない。後で振り返ってもどうしてそんなことをやったのかわからない行動を取ってしまうことが、生きとし生けるもの全てにはありがちである……ということは以前にも書いたことがあるか。


 晩餐時。私は一つの矛盾に気がついた。そもそもこの日記に書かれていることが虚実入り混じっているが故に矛盾だらけなのだが、現実を生きている自分が矛盾に気づいたのは初めて……いや、この日記を書き始めてから初めて……でもないか、久々である。以前感じた矛盾がいつのことだったのか、思い出せないが、とにかくそういうことが以前にもあった気がする。似たような日々を送っているとデジャヴュを感じがちである。ともかく私は矛盾に気づいた。狼は林の中にいたのではない、私の頭の中にいたはずである。一体いつの間に私の頭の中を出て野生に戻ったのか。そしていつからゾンビを見守っていたのか。謎である。こんなことを考えるくらいなら小説でも書くべきである。一応仕事として依頼されたのだから。求められているのは駄作だけど。と、これを書くとやる気が霧散してしまうので厄介である。というのはもちろん泣き言である。さっさと書かなければならない。

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