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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
280/366

2012年5月20日

※この作品は作者の日記ではありません。

5月20日(日)

 日記には書いていないが毎日のようにインターネットに接続している。となればインターネット語を駆使してインターネット内で仲間の一人や二人でも募っていてもおかしくないのかもしれないが、私はそんなことはしていない。なぜかと言えば、信用ならないからである。榎本なごみよりも百合心音よりもキノコ人間よりも家族よりも、ネットの向こうの人間は信用ならない。ネットで友達なんか作れなくてもいい。信用できないから。


「きーたーぞー、寂しかった?」なんてことを言いながら榎本なごみが家に来た。榎本なごみは居間でくつろぎながら、「ゾンビ、来た?」と私に尋ねた。昨日家に来た、と伝えると、「そっか、学校休んでまでゾンビと遊びたいんだ、あの子」と寂しさを少々含ませて言った。そういえば昨日は学校のある日だった。ということは妹は午前中からゾンビと遊んでいたということになるのか。「私も一緒に遊びたかったなあ」やはり十代の考えることは十代にしか理解できないようだ。「ゾンビ抜きで」それは私にも理解できる。


 ゾンビと遊ぶ妹の躁的状態は続いており、今日も晩餐の席に同席した。今日はゾンビと会えなかった、寂しかった、と弾んだ声で報告していた。「どこで会おうとしたの?」と母が尋ねた。「内緒」と妹は人差し指を口に当てるという古典的な仕草で答えた。そんなにゾンビと遊ぶ毎日が楽しいのか。と私は尋ねなかった。まるで皮肉のようだったからである。

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