表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
261/366

2012年5月1日

※この作品は作者の日記ではありません。

5月1日(火)

 職場へ向かうと人が一人しかいなかった。先週は一言も口を買わさなかった上司の上司である百合心音が一人で私を待ち構えていたのである。「電話連絡、入れ忘れてたわね」それから百合心音は電話でも言えるようなことを言った。「今日の仕事は中止よ。GWだからね」そういえばそんな時期か。今まで働いていなかったのでそんな感覚をすっかり忘れてしまっていた。


 ついでに百合心音に尋ねておきたいことがあったので、帰ろうとするふりをしながら何気ない調子を装って尋ねてみた。この会社は一体何のためにあるのか、もしや世界を物語化するための活動を行なっているのではないか。「バイト君はそういうこと気にせずに、仕事をしていてくれればいいのよ」百合心音はにべもなくそう言った。「あら、突っ込んでこないのね」そのまま帰ろうとすると、百合心音は意外そうに声を上げた。「普通の人なら、ここでカチンと来てさらに追求してくるところなんだけれど」私は狂っているのでそんな普通の人間みたいなことは出来ない。「ああ、そういえば、あなた障害者だったわね」私は激高した。「あら、怒るポイントはそこなの? だって扱いは障害者と一緒じゃない」


 帰ってからも怒りの炎は冷めやらず、ただでさえ暖かい宮崎の春が暑苦しく思えてきた。怒りのあまり食欲が消失し、晩餐は出されたが食べる気がしなかった。しかし食べなけれれば明日の日中に大変なことになるかもしれなかったので、詰め込むように食べた。今日はキノコは入っていなかった。母が言った。「少し早いけど、明日猿先生に来てもらうことになったから」キノコ料理を食べさせるために、か。「ええ、夜に。だからあんた、明日は昼に食べてよね」無理して食べる必要はなかったかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ