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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
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2011年9月9日

※これは私の日記ではなく、完全にフィクションです。

9月9日(金)

 そういえば、昨日は毎週木曜日に連れて行ってもらっている筈の保健センターのふれあいサロンへ連れて行かれなかった。いつも母に連れて行かれる時間に、榎本なごみが尋ねてきて、その間母は私に一切の干渉をしてこなかった。榎本なごみが来た事を、母は承知していたのだろうか。しかし、私を無視しながら親としての義務だけは無言で果たし続ける母が、私に対してそんな態度を取るとは思えない。狂ってしまった私なんかに気遣いなどということをやるとは思えない。母は一体どうしてしまったのだろうか。


 昼間、水を飲みに居間に移動すると、母と鉢合わせた。日中は翻訳作業でほとんど部屋に閉じこもっている母と偶然鉢合わせることは稀である。昨日は私を思いやってくれたような気がするので、もしかしたら無視されなくなったかもしれないと思い、私は一昨日のことを母に話した。あなたの担当編集に腹をしこたま殴られましたよ、と私は伝えたのだ。母は私を無視した。やはり昨日のことは思いやりではなく、単に連れて行くことを忘れていただけなのかもしれない。


 それからハローワークへ行った。そして狂人専用窓口で私の担当者になってしまったパートタイム勤務らしい中年女性と話をした。そこで私は、狂人は作家になれるか、と尋ねてみた。「それは無理よ。狂った人間が編集者さんと打ち合わせができるとは思えないわ」と返された。そうだな、と私は思った。


 晩餐にはやはり無味のキノコが出された。ここで少しキノコの描写をしておこう。いつも晩に出されるキノコは笠が大きく、赤色をしていてその中に白い斑点がある。インターネットでベニテングダケと画像検索したら出て来そうな形状と色をしている。しかし毒物を口にしたときのような反応は私の身には現れていないので、きっと違うだろう。精神に異常はきたしているけれど。

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