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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
253/366

2012年4月23日

※この作品は作者の日記ではありません。

4月23日(月)

 晩餐にキノコが出された。明日から勤務だというのにまだキノコを食べさせ続けていてもいいものなのか、前回面接を受けた際にキノコが出されなくなったあの現象はなんだったのか、母に尋ねてみると「週1日しか働かないんだから、出そうが出すまいが同じでしょ」と言った。そういう考えで片付けていい問題なのだろうか。そもそも私はなぜキノコを食べなければならないのか分からないうちにキノコを食べることが癖になってしまっている。本当にこれでいいのか、改めて考えてみることにする。


 考えた結果、別にいいのではないか、という結論に達した。別にキノコを食べたからといって翌日に何らかの影響を及ぼすわけでもないし、単に狂って数時間意識が飛ぶだけである。しかしこの、きのこを食べて狂うという現象は一体なんなのだろうか。私は元から狂っているのではなかったか。それなのに更に狂うとなれば、これはもうキノコで狂っている間の私の目には悪夢も形無しなほどの狂気的幻想が見えているに違いない。それはそれとして、酒さえ飲まなければキノコの狂いは翌日に影響を残さないのは確かなことである。安心していい。


 安心していいはずなのだが、獏とした暗黒が私の心理内を支配していた。働くことは決して楽しいことではない。きっと人との軋轢もあるだろう、辛い仕事を押し付けられることもあるだろう。相手は他人である。私のことを尊重してくれるとは思えない、そもそもあまり他人を尊重していない私が他人に対して尊重してもらうことを求めることが間違いである。だから私はこの不安を抱えたまま寝るしかなかった。しかしどうにも眠れなくて、こうして日記に追記している。

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