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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
249/366

2012年4月19日

※この作品は作者の日記ではありません。

4月19日(木)

 目的もなしに榎本なごみがやって来た。確かに私は目的がなければ家に来てはならないなどと榎本なごみを縛った覚えはないし、そんな縛りなど簡単に破ることくらいできそうなものだが、何も持たずに何の目的もなしにこられると麦茶を出すくらいしかやることがないので困った。雑談しようにも私の日常からは雑談できるようなネタなど湧いてこないのである。何もない毎日。人が見れば幸福と見るかもしれない。しかしここには他のどの職業でも味わえない、漠然とした不安がある。それに将来のことも不安だ。いつまでも狂ってはいられない。


 そうして二人で相対してお茶をすすったりぽつぽつと話したりしていると電話が鳴った。私は出て、そして現状の確認を要求されたのでそれを報告し、電話を切った。「誰から?」榎本なごみが訪ねてきたので、百合心音からだと答えた。「ええっ!」榎本なごみは急に演技をやめたみたいな勢いで驚いた。「お母さんじゃん」苗字が違うぞ、と私は指摘した。「いや、そういう意味のお母さんじゃなくて、なんていうのかな、まあ……こう言うと信じてくれなくなるかもしれないけど……神様? みたいな感じのひと、かな」何を司っている神様なのだろう。もし本当に神様なのだとしたら。


 結局私は百合心音のことを忘れないでいる。晩餐時に母に尋ねてみたが、母の知り合いに百合心音などという人物はいない、とのことだった。ならばどうして我が家の電話番号を知ることができたのか? それは神様だから。もし榎本なごみの言ったことを頭から信じるとしたらどんな疑問にも、それは神様だから、で説明がついてしまう。これではいけない、と思う。しかし百合心音は正体不明である。昨日テレビに映っていた、正体不明の批評家である。これからネットで調べてみようと思う。

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