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このキノコ人間が。  作者: 天城春香
誰かの日記
238/366

2012年4月8日

※この作品は作者の日記ではありません。

4月8日(日)

 榎本なごみに机をプレゼントされたにも拘らず、相変わらずパソコンは床に置いて使っている。一日だけ机に置いて使ってみたが、使いづらいことに気がついた。私の部屋には椅子がないのである。椅子なしで机にパソコンを置くと使いづらい。当たり前である。だからといって私は榎本なごみに椅子を要求したりはしない。それは狂った人間の居直りというやつで、そういう人間のことを私は卑下していて、そうはなるまいと心がけている。しかし最近の日記を読んでみると、自分の身に起きた不都合を人のせいにばかりしている。私は卑下されるべき存在である。狂っているから当たり前か。


 そろそろというかやっとというか、自室で震える時間が少なくなってきた。宮崎なのに、九州なのに、私の部屋は最近まで寒かったのである。おまけに私の部屋には暖房器具と呼べるものは毛布くらいしかない。我慢の冬だった。その我慢が春になったことで実を結んだ、という表現は間違っている。少しも実を結んでなんかいない。単に我慢する機会が終わっただけである。


 晩餐は今日も無事に出された。一日に一食しか食べられないというのも我慢が必要なことだと思うが、もう慣れたので我慢の必要はない。こんな生活に慣れてしまうことは、きっと栄養学上良くないと思う。しかし母は栄養士ではないし、私だって栄養について詳しいわけではない。だから私は黙って晩餐に出されたおでんを食べるのである。キノコもおでんにされていて、それを食べろと母は言った。これもいつもどおりの出来事である。

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